Vol.149:らぁ麺 蒼空


 今回取材するお店は名古屋市天白区にある"らぁ麺 蒼空"。「鳥居式らーめん塾」を経て、2017年5月にオープンしたお店だ。煮干し系を出しているお店はどんどん増えてきているが、コチラは煮干しの中でも「平子煮干し」(イワシを使って作られる煮干し)に特化していて、メニュー名も「平子らぁ麺」や「平子中華そば」。ここまで拘っていると、その潔さを応援したくなる。"らぁ麺 蒼空"外山店主にKRK直撃インタビュー!


- 出身は?

「愛知県です。」

 

- 元々、ラーメンは好きだったんですか?

「本格的に個人店に食べに行くようになったのは東京に住んでいた頃ですね。大学の頃は、べんてんさん(中華そば べんてん)、がんこさんに"最低"週1回ずつ通っていました。がんこさんの月1限定の悪魔ラーメンもほぼ必ず食べていましたね。」

 

- ラーメン屋をしようと思ったきっかけは?

「元々、弁護士を目指していたんですが、当時は合格率が3%くらい。だから目指しながらも受からない場合の別の道も考えていました。もし35歳を過ぎてからどこかの会社に入っても、他の人より10年くらい遅れることになる。それで自分1人でできる仕事、そして自分が好きなことは何だろうと考えた時、ラーメンが浮かびました。

 自分が食べ歩きをしていた頃、『ごちそうさまでした!』と言うと、店主さんがニコっと笑うところが好きだったんです。ラーメン屋はお客様との距離が近いので、作り手がお客様の反応を目の前で見れるんですよね。 」

 

- 実際にラーメン屋をしようと決心した時も迷いは無かった?

「はい。24歳の頃からそういうことを考えていて、36歳の頃に司法試験を断念してラーメン屋をしようと決心しました。全く迷いは無かったですね。」


- いよいよラーメン屋開業へ動き始めて、どこで学んだんですか?

「私はお店での修業、そして鳥居式らーめん塾(公式HP)。両方をほぼ同時で始めました。だから某店(非公表)で面接の時、将来独立すること、ラーメン学校に通いながら修業をしたいなど確認して入りました。

 だから大変でしたね。金曜の夜の仕事を終えて、夜行バスで東京へ行って授業を受けていました。さすがに帰りは新幹線にしていました(笑)。」

 

- 修業先として某店(非公表)を選んだ理由は? 

「住んでいた周辺で『一番魅力的なお店は?』と考えて、そこしかなかったんです。味は美味しいし、接客も細かくて素晴らしいお店。一番学びたかったのは、オペレーション的な部分。どうやったらお客様を案内してうまく回っていくのか、その辺を知りたかったんです。ちょうど私が入ってすぐの頃に某雑誌の表紙になって、とても忙しかったですね。」

 

鳥居式らーめん塾では?

「面白かったのは食べ歩きの宿題が出るんですよ。週に可能なら5~6軒で食べて、次の授業の一番最初に発表するんです。どんな点が印象に残ったのか、なぜみんなに紹介したいと思ったのか、みんなの前で紹介するんです。受講生は全国から集まっているので知らない店も知ることができて、店がどんなアイデアで営業しているのかとか学ぶことができる。その中から自分の作りたいラーメンを探している人もいましたね。」


らぁ麺 蒼空(2017年5月17日オープン)


- 屋号の由来は?

「いろいろ考えて、"空"が浮かびました。20代前半の頃、世界中をバックパックで廻っていて、標高の高い所で見る青空って本当に突き抜けるほど青くてとても綺麗だったんです。どこまでも上っていける感じ。それでウチもどこまでも上っていけたらいいなって。

 "空"だと同じ屋号のお店が当時あったので、それなら"蒼空"にして『そら』と呼んでもらおうと決めました。ウチの制服も"空の青"を意識して作りました。」


メニュー(2019年11月11日撮影)


- 自分のお店でやりたいラーメンが決まったのはいつ頃

「最初は塩ラーメンがしたかったんです。がんこさんの塩が好きだったのもありますし、ラーメン学校に通っている頃にほん田さん(麺処ほん田)に行かせてもらって塩がとても好きだったんです。だから卒業ラーメンは塩ラーメンを作りました。」

 

- そうだったんですか(驚)? 塩メインでしなかった理由は?

「いざお店をやるってなった時に、鳥居式らーめん塾の先輩とかに『塩でやりたい』と相談したら、『やめとけ!』と言われました(笑)。『塩は中毒性が低いから、あまり出ないぞ。最初に塩をメインにするとこける可能性がある』とアドバイスをもらいました。今でこそ東海にも清湯のお店が増えてきていますが、当時はやっぱり中毒性のある味が主流でしたから。それで『もうちょっと中毒性のあるものにした方がいいかな』と考え始めました。」

 

- それで今のメニューになるんですね。

「いろいろ考えたんですよ。鶏の清湯とかも考えたんですが、私の舌が鶏の旨味を美味しいかどうかよく分からなかったので、お客様に出すわけにもいかない。

 やっぱり私は豚ベースのラーメンが好きだから、浮かんだのが豚骨魚介。ほん田さんも豚骨魚介、あっさりの醤油と塩、そして濃厚つけ麺。なんでこういう商品ラインナップなのかと某誌の記事で読ませてもらった時に、濃厚系は若者向け、清湯は年配の方向け。立地的にもほん田さんの店はベットタウンで、ウチの場所も似たようなところ。それでウチも幅広いお客様を受け入れられるようなメニューにしようと、豚骨魚介を頭に置いて、あっさりの中華そば、そして濃厚系つけ麺。その3本にして、限定で季節感のあるものをだいたい月替わりで提供という形にしました。」


平子らぁ麺


- 平子煮干しに特化した理由は?

「煮干しのお店ってたくさんあるじゃないですか?その中でもウチだけの特色を出したいなと思い、それで平子煮干し(マイワシの煮干し)。平子を使っているお店はたくさんあると思うんですけど、メインとして使っているお店はあまり無い。使ってみたら味がけっこう強かったのでいいなと思いました。」

 

- "平子中華そば"の方は?

「昆布とか入っていますがほぼ魚介出汁のみ。あっさりの醤油清湯です。」

 

- 将来的に塩も基本メニュー入りの予定?

「お客様にもよく言われることがありますね。考えてはいますが、限定でするのがちょうどいいのかなとも思っています。」

 

- 最後に外山店主が大事にしていることをお願いします。

「お客様にどれだけ満足してもらえるかなってことですね。少しでもいいので、毎日1㎜でもいいので美味しくしたいです。もしかしたらちょっと戻ることもあるかもしれないんですけど、毎日ちょっとずつ美味しくするように頑張っています。お客様と毎日向き合うことを大事にしていきたいです。」


 <店舗情報>

■らぁ麺 蒼空

愛知県名古屋市天白区井口1-2012

ブログ:https://ameblo.jp/takamix76/

twitter:https://twitter.com/gn0PlYUVv8y5ggt

オープン日:2017年5月17日

 (取材・文・写真 KRK 令和元年11月11日)