Vol.315:ラーメン たのしみ


 今回取材をするのは豊橋市の「ラーメンたのしみ」。多くの実力店が混在している三河エリアで2023年3月にオープンした注目の新店だ。私も数か月前に食べに来たが、麺やチャーシューなど全てに拘りが詰まった商品を提供していることに驚いたものだ。「ラーメン たのしみ」水田店主にKRK直撃インタビュー!


- ご出身は?

「生まれも育ちも豊橋です。」

 

- 昔からラーメンは好きだったんですか?

「学生時代からラーメンは食べていました。豊橋から名古屋の大学へ通っていたんですけど、豊橋の丸源ラーメンでアルバイトをしていました。その頃にラーメンが好きになってラーメン本とか見て、バイクや地下鉄で食べ歩きもするようになりました。豊橋から通うのも大変なので名古屋で下宿するようになり、名古屋の"よってこや"でアルバイトをしていました。なんかラーメンが好きだったんですよね。当時はまだ食べるのが好きで、自分でしたいとは全然考えていなかったです。」

 

- 大学を出てから他の仕事を?

「大学を卒業し東京の会社へ就職しました。東京では忙しくてあまりラーメンは食べられなかったんですが、時々は食べていましたね。東京の会社を6年ほどで辞めてから、海外をバックパッカーで廻っていました。東南アジアからインドへ渡り、インドで詐欺に遭いお金がなくなってしまって、ワーキングホリデーで稼ぐためにオーストラリアへ渡りました。お金が貯まってからW杯(2014年)を観にブラジルへ渡り、それから南米やヨーロッパ・アジアを旅して日本へ帰国しました。合計で2年ほど旅していました。海外でもラーメン屋を探して食べたりしていました。」


- 帰国してからは?

「何をするか全然考えていなかったので、友達が働いていた居酒屋でアルバイトをしていました。しばらく経って、その居酒屋の友達とラーメン屋をしようという話が出てきました。自分で手間暇かけてきっちり作ったものを食べてもらいたいという気持ちがあったのが大きな理由の一つです。そして2018年に"歩く花"というお店をオープンしました。」

 

- ラーメン作りは自己流で?

「2人ともラーメンを作ったことがなかったので、僕が香川にある大和ラーメン学校へ行って学んできました。当時の名古屋営業所の担当だった上野さん(現・中華蕎麦ひら井 店主)からは麺のことで多くのことを学ばせて頂きました。」

 

- 水田さん自身での独立志望は無かったんですか?

「当初は自分ですることは考えていなかったんですが、歩く花をしている内にだんだんと一から自分のお店を作りたい思いが湧いてきたので、3年ほど経ってから自分ですることを決断しました。」


2023年3月13日オープン


- 屋号「ラーメンたのしみ」の由来は?

「ギリギリまで全然決まらなくて、妻と話しながら決めました。妻と音楽の趣味が同じなんですが、2人の好きなアーティストが"たのしみ"というアルバムを出していたので、妻から『たのしみっていいんじゃない?』と意見が出て決めました。"たのしみ"という言葉自体がしっくりきたし、自分も楽しみ、お客様にも楽しんで頂くという意味も込めました。」

 

- 水田さんがやりたかったことは?

「2024年1月に閉店してしまったんですが、僕は静岡のヤマシロさんに凄く影響を受けていたんです。それで漠然とですが方向性は決まっていました。豊橋はうどん文化があるのでこういう多加水の太麺が好まれるかなと思いました。そしてヤマシロさんで釜焼きチャーシューを食べてずっと好きだったので、ウチでもしようと思いました。自分が好きなものでやりたいという気持ちがありました。」

 

- メインを塩にしたのは?

「塩をメインにしている麺屋さんが少ないし、美味しい塩が先にでき上がったというのもあります。これだけラーメン屋さんが増えていますし自家製麺の店も増えているので、他と同じことをしていてもダメだとずっと考えていました。開業前には幸跳の松永店主に試食してもらったり、ヤマシロの山本店主からも多くのアドバイスを頂きました。ヤマシロの山本さんからは店を閉店してからも食べにきてもらったりとか交流を続けさせてもらっています。」



- 自店の商品紹介をお願いします。

「麺はうどんの作り方を参考にして作っている多加水麺を手揉みして出しています。スープは煮干主体で動物系で厚みを出しています。トップメニューの塩にはいろんな産地の塩をブレンドして地元愛知県の白醤油も加えています。チャーシューは一度釜焼きして、それから低温調理してやわらかくしています。まだまだやりたいことはあるんですけど、まずは今の商品に集中していくことが大事だと思っています。」

 

- 店の雰囲気が落ち着いてていいですね。

「何でも自分でしてみたいという性格なんです。前はここは居酒屋で和風の雰囲気だったんですが、自分で解体からしました。設計の人にも協力してもらいつつ、自分でしていたら10ヶ月くらいかかってしまいました。職人さんも入らずですから大変でしたが、大工仕事の経験を10ヶ月積めたと前向きに考えています。どこか壊れた時は自分でできますからね。」

 

- 一番大事にしていることは?

「一杯一杯を気持ちを込めて丁寧に作ることです。そしてお客様を見て挨拶をして気持ちよく食べてもらうこと。味はもちろんなんですけど、接客も雰囲気も全て大事だと思っています。全部揃った上でお金を頂くというのが大事だとずっと思っています。」


◆店舗情報

ラーメン たのしみ

愛知県豊橋市菰口町6-46

instagram https://www.instagram.com/tanoshimi_ramen/

オープン日:2023年3月13日

 (取材・文・写真 KRK 令和6年2月17日)