Vol.09:麺屋 NOROMA

2012年末、奈良に新店が現れた。店主は名店を渡り歩いた輝かしいキャリアを持つ男だ。豚骨全盛の奈良でこの店の看板は鶏白湯ラーメンだと言う。そして屋号はノロマ。関西人特有の軽いノリなのか?それとも何か深い意味があるのか?屋号はノロマだが、店の知名度は瞬く間に関西全域に拡がり、すぐに行列店となる。意味不明の文字が書かれたTシャツ、メニューの杏仁豆腐セットなどいろいろ聞いてみたいことがあるので、この日がとても待ち遠しかった。麺屋NOROMA 高岡店主にKRK直撃インタビュー。


─生まれは?

「大阪です。幼稚園の時に奈良へ引越ししてきました。」

 

─いつからラーメンに?

「ラーメン食べるのは好きで、関西のいろんな店に食べに行ってました。当時好きだった店は無鉄砲さんやカドヤ食堂さんでしたね。時々、関東にも食べに行くほど食べ歩きにハマッていました。」

 

─ラーメンを作る側になるきっかけは?

「仕事はいろいろ転々としていて、28歳の時にリストラにあって人生が行き詰ってしまいました。その時に『ラーメンを真剣にやってみよう』って思いました。食べるのが好きだったし、ラーメン以外は頭に浮かばなかったです。」

─どこかで修行を?

「いろいろ食べ歩いてた経験の中で、関東の某店のつけ麺が一番好きだったんです。当時は奈良に住んでいたんですが、そこが一番ずば抜けて美味しかったので『せっかく働くのなら一番美味しいって思う店で働きたい』と思いました。それから奈良を離れ、そのお店で1年ほど働かせてもらいました。ラーメンも作らせてもらっていましたが、どちらかといえばスープを作ったりとか裏方の仕事が多かったです。メッチャ学ぶ事が多かったです。」

 

─関西に戻ってきたのは?

「結婚することになって、関西に戻ることに決めました。関西に帰ってきてもいろいろ食べ歩いていて、衝撃的に美味しかったのが金久右衛門さんでした。それでちょうど求人が出てたので働かせてもらうことになりました。当時はまだ本店と四天王寺店しかなかった時代です。金久右衛門さんはラーメン専門店なので関東の店とはまた全然違いましたね。洗い物とかけっこう自信あったんですけど、お客さんの回転がメチャクチャ早過ぎて、最初の頃は全然追いつかなかったです。」

─四天王寺店の店長に? 

「関東での経験もありましたから、金久右衛門さんでは半年くらいで店長をまかせてもらいました。その頃には自分の限定を出させてもらったりしてました。思い入れのある限定は鶏白湯ですね。『金久右衛門さんのカラーじゃないのであかんかな~?』と思ったんですが、大蔵さん(金久右衛門オーナー)にも食べてもらってOKを頂きました。金久右衛門さんでも学ぶ事が多かったです。」

 

─JUNK STORYへ移った経緯は?

「金久右衛門さんで働いてる内に自家製麺に興味を持つようになってきました。それで当時食べてた中ではJUNK STORYさんの麺が一番美味しいと思っていたので、金久右衛門 四天王寺店の当時のオーナーに相談して、JUNK STORYさんを紹介して頂きました。」

 

─JUNK STORYでは? 

「あんな狭い厨房なのにラーメンの種類も多いし、『どうやってるんだろうな?』と興味もありましたね。製麺は2階でしてました。自家製麺の勉強で入ったので、紹介してもらった時から『1年後には独立する』と伝えて働かせてもらっていました。どの店もそれぞれルールがあるので、やり方は全然違いましたね。本当にたくさんのことを学ばせて頂きました。」



─いつから独立志向があったんですか?

「『ラーメンをする』と決めた時点で決めていましたね。」

 

─屋号の由来は?

「『ゆっくりでもいいから丁寧な仕事をしたい』という意味です。ラーメン屋さんって回転、回転と言われるんですが、そういうんじゃなくて『ノロマやから仕方ないな』と思ってもらえるかな?って(笑)。」

─いつ頃から鶏白湯ですると決めていたんですか?

「金久右衛門さんで働かせてもらっている時にはもう『鶏白湯でやろう』と決めていました。奈良を食べ歩いて決めたわけではなくて、年齢的にドロドロ系が無理って思ったのが大きいですね。鶏なら小さいお子さんから、お年寄りのお客さんまで食べてもらえると思いました。それでも最初はドロドロ系でいこうかなって考えもあったんですが、途中から『誰が食べても、どんな状態で食べても鶏って分かるのを作りたい』という考え方になっていきましたね。」

─場所は悩みましたか?

「地元が奈良なので、最初から奈良でしようと決めていました。富雄で一番やりたかったのでずっと富雄で物件を探していたんですが、富雄は家賃が高いしなかなか空きがなかったんです。しばらく探していたんですが、もう待っても仕方ないなと思い、奈良市全体で探し始めました。駅近か、車をたくさん停められるスペースがある所。そして僕の絶対的な条件は座敷でしたね。」

 

─座敷?

「当時は僕の子供がまだ小さくて、なかなかラーメンを食べに行きたくても気軽に行ける店がなかったんです。僕自身も家族で気軽に行けるラーメン屋って、奈良なら来来亭さんや彩華ラーメンさんなど大箱店くらいしか無かったんです。それでせっかくなら家族連れのお客さん達にも気軽に来てもらえて、ゆっくり食べてもらえる店を持ちたかったんです。座敷は2つを無理矢理に作りましたね(笑)。お客さんの回転を優先するんじゃなくて、寛いでゆっくり食べてもらいたいと思いました。車も多く停めるスペースもあるし、この場所がよかったですね。規模的にもちょうどよかったし。」

─「すばやさ+1」の意味は?

「これは逆に『ノロマなので、これで許してください』って意味。僕が考えているんですよ(笑)。」

 

─オープンしたのは?

「2012年12月4日です。最初はラーメンのみで営業していました。JUNK STORYの井川さんにだいぶ宣伝をして頂いたので、最初から多くのお客さんに来てもらえました。オープンして2ヶ月くらいで奈良の情報誌ぱーぷるさんにも紹介してもらって、それでビックリするほど地元のお客さんが増えましたね。」

─なぜメニューに杏仁豆腐?

「関東の修行時代の店に手作りの杏仁豆腐があって、それが衝撃的に美味しかったので、僕も面白いなってのもあるし出したかった。最初は全然売れなかったですね(笑)。レシピは僕のオリジナルで、ブツブツ感とか出すように工夫したりしています。」

 

─評判いいレアチャーシューは?

「JUNK STORYさんで作り方を学び、それから研究し、自分のオリジナルのレアチャーシューにしていきました。」

─ついに自家製麺を?

「最初からしたかったんですが、資金的なものとかでオープン時には出来なかったです。」

 

─製麺は修行時代にしていたんですね。

「JUNK STORYさんで学ばせてもらっていましたが、でも自信は無かったですね。でも、やっぱり麺まで自分でやりたいって気持ちがありました。自家製麺は今でも掴みきれてないので、勉強を続けています。日によってブレが激しいんです。」


─大和Noodle店主会?

「オープンした頃は奈良のラーメン屋さんの知り合いが全くいなかったんですが、ある時、奈良のラーメン屋さんを集めた某スタンプラリーへ参加させてもらい、それをきっかけに交流が拡がりました。大和Noodle店主会(公式HP)で時々集まっていて、奈良を盛り上げようといろいろ話はしています。各店でエコキャップを集める活動もしていますね。」

─麺556?

「同じ年同士の気が合う店の集まりです。昭和55~56年生まれの集まり。島田製麺所さん、麺や拓さん、えびす丸さん、豚コングさん、轍さん、麺屋ガテンさん、そして麺屋NOROMAです。イベントに一緒に出たりしていますね。『タメ口使わない』、『気を遣わない』とかルールがあります。」

 

─最近、いろんな店とコラボ?

「ウチの店はメニューも2種類しかないので、そういう機会にいろんなラーメンに挑戦したいし、お客さんにも楽しんでもらえたらいいなって気持ちですね。」

 

─他ジャンルは?

「あんまり食べる機会がありませんが、カレーは時々食べに行きます。タリカロさん(奈良市)はかなり好きですね。ラーメンでもカレーラーメンとかありますが、ああいうスパイスの使い方は無いですし、とても勉強になります。」

─国産の箸を広めたい?

「最初は中国産の箸を使っていたけど、国産の箸だとこういうのを使うことによって林業も栄えるし、家を建てた廃材を利用できるし、木を切ることによって根っこもよくなるし、空気もよくなる。環境面でちょっとでも貢献できるって思って使っています。(株)はるか(公式HP)さんの割り箸を使わせてもらっています。鈴庵さん(奈良のうどん屋さん)にも紹介したりして、広めていっています。」

─奈良以外への出店は?

「僕はもう地元奈良だけ。奈良密着型でいきます。」

 

─2号店の予定は?

「2号店はしたいですし、やるなら奈良ですね。同じラーメンはせず、次は清湯でやりたいです。外人の観光客のお客さんも来てくれる店とかにしたいです。」

─ 人を育てるのは?

「僕はそういうの下手ですね。僕は『こうだ!』と思っても、人それぞれ違う受け取り方があります。」

 

─大切に思っていることは?

「ラーメンを作るのも大事だけど、お客さんに対してってのを大事に考えています。そういう想いを込めてTシャツにもしたんですが、ウチのラーメンを食べたお客さんに笑顔で帰ってもらいたいという気持ちがあります。ウチのスタッフにはこういう考えをちゃんと教えていきたい。ラーメンは慣れてきたら誰でもある程度は作れるようになるけど、こういう考え方が大事だと思ってる います。お客さんが笑顔なら、僕らも笑顔になれる。だからお客さんの反応をいつも見るようにしていますね。」



<店舗情報>

麺屋 NOROMA

奈良県奈良市南京終町3-1531

公式サイト:http://noroma.net/

Twitter:https://twitter.com/noroma_net

 

(取材・文・写真 KRK 平成27年9月)