Vol.69:麺屋さくら


 私が初めてこのお店へ来たのが、平成25年7月だった。愛知県の知多半島にとても気になるラーメン店があったので地図で場所を確認すると、「海をずっと廻っていくのか。遠いな~」って思ったのをよく憶えている。初めて半田市に来てみると、私の生まれ育った奈良とは全然違う風景があり、海が近いこの広々とした半島に当時は憧れを抱いたものだ。

 あれから約4年が経ち、その時訪れたラーメン店が人気ラーメン本の東海地区"総合GP"に選ばれた。それで久しぶりに来てみたら以前に無かった看板ラーメンがあり、これが衝撃的に美味かった!!オリジナル感たっぷりの看板ラーメン、この場所、東海の総合GP受賞、いろいろ聞いてみようと思う。"麺屋さくら"川内店主にKRK直撃インタビュー! 


- 出身は?

「半田のちょっと南の武豊町です。」

 

- 料理の道に進んだのは?

「スタートはイタリアンからでした。当時、地元の知り合いが雑貨を売りながら製造もしてカフェもしてって‘’雑貨カフェ‘’みたいなのをしていて、その知り合いからある日、『本格的なのしたいから来ない?』って誘われたんです。それで役員という立場で会社の立ち上げにも携わることになりました。その会社はすぐに軌道に乗って3店舗ほどになって、イタリアンは最終的には3店舗、それから居酒屋、ビアバーみたいなのまでしていましたね。その会社を始めたのが24歳の時で、それからラーメン屋を始める前年までしていました。」

- その会社を離れた理由は?

「今までは国内で作っていたのが、その業界も時代の流れで生産が全部中国になっていって、輸入に切り替わっていきました。それで有名なF社のような競合店も出てきて、物量的なものも全然違うし、経営が巧くいかなくなってきました。ウチは飲食でもっていた部分があって、それなりに利益を出していたんですが、社長とも段々と意見が食い違ってきたんです。それで自分でやりたいこともあったので、会社を離れることにしました。それが今から9年くらい前ですね。」

 

- 川内さんがやりたかったこととは?

「ラーメン屋です。元々、ラーメンを食べるのが好きでずっとラーメン屋をやりたかったんです。前の会社では立場上、出張も多かったので東京とかで多くのラーメン店を食べ歩いていたんです。いろんな所で食べてた時、自分の中で『既存のラーメンって枠にとらわれずに、自分のカラーを出したラーメン店をしてみたいな!』って思っていました。当時からスープだけ自作でずっと試作していました。」


麺屋さくら(2010年4月12日オープン)


- すぐにラーメン屋を始めたんですか?

「前の会社を離れてから、半年ほどでオープンしましたね。場所は地元って決めていました。以前していた飲食関係からの知り合いにこの場所を紹介してもらいました。」

 

- 屋号の由来は?

「オープンの時が桜の時期だったんです。そして誰にでも憶えてもらいやすく、好かれる名前がいいなって思いました。」

 

- オープン時のラーメンについて

「今は内容的にはかなり変わっていますが、前の会社にいる頃からだいたい決まっていましたね。どこにも無いラーメンを作りたいって思ってても、商売になるとありがちなラーメンになってくるものです。鶏と魚介を合わせたラーメンでした。つけ麺に関してはどこにも無いようなのを出していました。このエリアでつけ麺が珍しかったので、約一ヶ月間はつけ麺だけで営業していました。やっぱりね、まずは珍しいつけ麺で多くのお客さんに来てもらい、店の知名度を上げていきたいって思っていました。」


さくらラーメン


- 麺は自己流ですか?

「はい、自己流です。イタリアンの時から麺を打っていましたから。製麺機屋さんに製麺機の使い方を教えてもらったくらいですね(笑)。」

- 現在の看板のラーメンについて

「さくらラーメンってのは途中から始めました。前から構想はしていたんですが、段階的にしていこうかなって思っていたラーメンです。知多半島って酪農っていうか畜産が盛んな場所なんです。養豚屋さんが自分のとこで精肉をしてるって所がありまして、そこに行くと成形する時に出るくず肉みたいなのが入手できるんです。その肉を煮込んでみたら、なかなか面白いスープができたんです。それでそのスープでつけ麺から始めて、それをラーメン寄りに調整して生まれたのが‘’さくらラーメン‘’です。」

 

- 関西にまでファンがいる鴨限定について

「前の会社の時にお蕎麦屋さんもやっていたんです。鴨って凄いいい出汁になるじゃないですか。でも鴨って蕎麦屋さんだとちょっと高いんですよね。それでウチならもうちょっと安く提供できるし、絶対に看板商品にできるって思いました。オープン1年目に限定でしてみたら、予想してた通り凄く評判が良かったんです。それでずっとさせてもらっています。」


- 東海版 2017 総合GP受賞について

「賞レース自体にはそんなに興味は無いんですが、結果として総合で選ばれたのは僕個人としてはとても嬉しいんです。ラーメン屋はスポーツじゃないんですけど、僕は体操の内村選手みたいなラーメン屋さんになりたいって思っているんです。全ての面で総合的に何を食べても美味しい。単品でいっても金メダルを獲れるようなのがあって、総合でも美味しいって店。田舎で商売してるので、集客の面で考えても総合GP頂いたのは嬉しかったです。」

 

- 店舗展開は考えていますか?

「考えていないです。ウチのようなラーメン屋って、店主も含めての一杯のラーメンなんです。店の雰囲気、店主、スタッフも含めての一杯のラーメンにお金を頂いてるって思っています。だからこの店だけでやっていくつもりです。」

 

- 川内店主が大事にしてることは?

「ラーメンのクオリティを上げるってことは、ラーメン屋としては当たり前。それだけでなく飲食店としてのクオリティを上げたい。当然、店を綺麗にしておく。接客も必要以上にする必要は無いと思うけど、お客さんが気持ちよく食べて頂けるような接客をしないといけないって思っている。

 お店のスタッフの労働環境も良くしていきたい。通常の労働時間の中でお店としてしっかり営業して、ちゃんとした収益をあげて、そしてお客さんにも満足してもらう。それでお店が成り立っていくんです。そうしていかないとラーメン屋って続いていかないと思っています。」



<店舗情報>

■麺屋さくら

住所:愛知県半田市出口町1-45-16

twitter:https://twitter.com/kirari20100412

facebook:コチラ

2010年4月12日オープン。

 

(取材・文・写真 KRK 平成29年12月)