Vol.92:中華そば 牟岐縄屋


 2018年7月8日、福井市内に一軒のラーメン店がオープンした。ラーメン熱が高まっている福井県ではラーメン店が急増しているが、この新店のオープン前のSNSでの騒ぎは尋常では無かった。屋号は"中華そば 牟岐縄屋"。北陸のラーメン情報に精通している人ならピン!と来るだろう。有名な観光名所"東尋坊"近くにある海水浴場の"海の家"で本格的なラーメンを提供し、関西からも多くのラーメンファンが噂を聞きつけて通うほどの人気を誇った、あの"牟岐縄屋"だ。その牟岐縄屋が福井市に移転してきたんだから大騒ぎになるのも納得だ。

 今回、福井へ行く機会があったので、イベントを通して交流があった店主に取材をお願いした。店主と直接会ったことが無いのでどんな方なのか楽しみだし、移転の経緯など聞きたいことが山ほどある。"中華そば 牟岐縄屋"吉田店主にKRK直撃インタビュー!


- 出身は?

「ずっと福井です。」

 

- ラーメンは昔から好きだったんですか?

「はい、全国で食べ歩いていました。今まで3000食以上は食べていますね。以前に日本全国を飛び回る仕事をしていまして、ほとんどが日帰りだったんです。それで何かしらイベントを持ってきたくて、それで『美味しいラーメンを各地で食べよう!』ってことで始めました。それが趣味になり、いつの間にか仕事になっていきました。」

 

- 当時、いつかラーメン屋をしたいと思っていたんですか?

「全く無かったですね。純粋なラーメン好きでした。ある日、友達とどこのラーメンが美味しいとか話してた時に、友達が『じゃあ、お前、ラーメン屋をやれ!』と言ってきたので、僕は『やってみるわ!』と答えたのが始まりです。旅館の調理師補助みたいなのもしてたので、調理師免許は持っています。」

 

- 急展開だったんですね(笑)

「友達に『やってみるわ』と言った1週間後に、三国(福井県坂井市三国町)でオープンしました。自作は以前から趣味で少ししていましたし、海水浴場にある"海の家"の夏のバーベキューの時に、無化調のラーメンを出したりしていました。」


中華そば 牟岐縄屋(2015年11月オープン)


- 屋号の由来?

「牟岐縄というのは現在では素麺のことを指すんですけど、昔は小麦の麺のことを総称で"牟岐縄"と言っていたので、それで牟岐縄屋としました。ドメイン取ったのが2015年7月だったので、その頃にはもう"牟岐縄屋"ですると決めていました。」

 

- なぜ海の家でしようと?

「そこが無料で使えるって好条件だったんです。基本的にはラーメンを食べに来る人が集う店にしたかったんです。お客様もみんな普通の服で来られていましたよ。逆に水着で入ってくるお客様は椅子が濡れるので入店を遠慮して頂いていましたね。」

 

- 自分のお店で提供したかったラーメンは?

「僕が食べ歩いた多くのお店の中で、『こんなラーメンを作りたいな!」と感動したのが、東京の某人気店のラーメン、そして"めとき"(東京)さんでした。内容的には先に挙げた某店リスペクトでしたね。牟岐縄って屋号だったので、"縄ロック"という名前で出させて頂いていました。ちゃんと某店の店主さんから許可も取っていたんですよ。最初から無化調でやろうと決めていました。最初の店は2年半ほどでしたね。」

 

- 移転は最初から考えていたんですね。

 「もちろんありました。以前の店は、場所が海水浴場の真横だったし、エアコンが無かったですからね。店が広過ぎたので、エアコン付ける意味が無いほどでしたから。」


中華そば 牟岐縄屋(2018年7月8日 移転オープン)


- 福井市内へ移転した経緯は?

「"福井ラーメンパーク"というイベントの時に、この物件の持ち主の方が『ラーメン屋をやらないか?』という話をテレビ局のディレクターさんに言ってきたんです。そして、その方を通じて僕の方に話が来ました。一回話を聞いてみようとこの場所に来た瞬間、『あっ、ここしか無いな!』とすぐに思いました。待ってる間も涼しいし、駐車場も多くあります。以前は山頭火さんが使っていて、店内はそのままで、座席だけ少し減らしました。テーブルとかは自分で作りました。僕は前の店の時から福井市内に住んでいて、三国にはここから車で40分ほどかけて通っていたんです。だから引っ越しする必要もありませんでした。」


縄中華そば 醤油


- こちらで提供する商品の紹介をお願いします。

「縄中華そばと煮干し中華そば、追い鰹中華そば、そして純レギュラーで鶏しぼり中華そば(水鶏系の鶏白湯)ですね。こちらでは最初からずっとオリジナルでやっていこうと思っていて、リスペクト的な部分は水鶏系(鶏と水だけをベースにした清湯)になっています。」

 

- 麺は?

「メインは函館の出口製麺さんです。もう1つは石川県の石川製麺さん。両方とも、全部特注でこちらから粉とか指定して出しています。自家製麺も考えてはいますけど、出口さん、石川さんに恩がありますので、メインはもう製麺所さんに任せていこうと思っています。いつか自家製麺をやるとしても、限定の時だけ自家製麺という形になると思います。どうせやるなら七彩さんみたいに、注文ごとに手打ち、手切りでしてみたいですね。」

 

- 牟岐縄屋のラーメンへのお客様の反応は?

「業界自体がそういう流れなのかなって感じがあるし、僕自身も食感が悪いのはあまり好きでなくて、魚粉入れているのがちょっと苦手なんですね。だからそういう感じの旨味の出し方じゃなくて、本当に水に旨みが溶け込んでいるようなラーメンがいいなと思っています。

 無化調に関しても、あまり意識してるお客様はいないですね。妊婦さんや健康に気を遣っている方、運動をしている方は無化調だからウチを選んでくれている方もいるかと思います。」



- 福麺会の紹介をお願いします。

「"鶏っぷ"さんという福井県でトップのお店、そして"めん屋さる"さんがいます。鶏っぷさんが福井県内で人気があったので、それの乗っかってコラボとかしたいなという話をしていた時に、どうせやるなら何か会とか作った方が面白いし、今後に繋がるんじゃないかなと思いました。それで2018年1月から始めました。定期的にイベントをしています。」

 - 入会資格とかあるんですか?

「特に厳しいルールとか無くて、福井で生まれた福井発のラーメンを作っているお店ですね。ただメンバーの誰かが嫌って言ったら入れないと思いますが(笑)。福井で起業して、福井でラーメンを作っている人ならいいと思います。あとはいかに楽しくやっていけるかですね。」

 

- 福井県内での反応は?

「あります、あります!まずはテレビ側が喰いついてきましたね。その流れでラーメンパーク開催へ繋がりましたから。」


- 今後について

「いつかこの店は譲って、僕は大久保の"めとき"みたいな小さいお店を将来的にはやりたいですね。」

 

- 最後に一言お願いします。

「とにかく(お客様の)笑顔が見れるというのが僕の原動力であって、自分が作ったラーメンを食べているお客様がニヤッとしたり、ウ~ンと唸ってくれているのを見るのが最高なんです。それを常に意識して、普通に引き出せるように頑張っていくだけです。」



 <店舗情報>

■中華そば 牟岐縄屋

住所:福井県福井市大願寺2-8-8 La136 1F

公式HP:http://www.muginawaya.com/

Twitter:https://twitter.com/muginawaya

Facebook:https://www.facebook.com/muginawaya

Instagram:https://www.instagram.com/muginawaya/

 

 (取材・文・写真 KRK 平成30年7月13日)