Vol.105:らーめん豚鬼


 2016年4月、静岡県浜松市に朝ラー(朝ラーメンの略)を提供するお店がオープンした。屋号は"らーめん豚鬼"。静岡には早朝から数十軒のお店が朝ラーを提供している志太地域が有名だが、浜松市で朝ラー、しかも濃厚豚骨を提供していると聞いてとても気になっていたお店だ。

 2017年5月に初訪問すると、早朝から満席で外待ちができていたのに驚いた!気合の入った濃厚豚骨ラーメンがガンガン売れていて、煮干しラーメンもかなり人気のようだ。噂によると、店主は東京のあの超有名店で修業をし、浜松市で独立した方。面白い話が聞けそうだから、オープン前の午前6時から取材をさせて頂いた。こんな早い時間の取材は初めてだが、いろいろ聞いてみたいことがある。"らーめん豚鬼"西塚店主にKRK直撃インタビュー!


- 出身は?

「生まれは千葉県船橋市です。」

 

- ラーメンは好きだったんですか?

「大学の時に食べ歩きを始めました。ラーメンに嵌ったきっかけは、横浜の吉村家さんでしたね。それまでも近所のラーメン屋とかで食べてはいたんですが、本当に遠出をするきっかけになったのが吉村家さんです。こんなに美味しいラーメンがあるのかとビックリしましたね。それから家系だけというわけでなく、雑誌とか調べて食べ歩くようになりました。」

 

- お店をしたいとかは考えていなかったんですか?

「まだ全く考えていなかったですね。当時は不動産関係の仕事を将来しようと思っていて、その関係の大学に通っていたんです。でも大学時代に遊び過ぎてしまって(笑)、そっち方面を断念することになりました。それで『これから何をしていこう』と悩んでいた頃、当時通っていたお店の1つだった某A店が募集をしているのを知りました。

 大学が浦安だったので比較近かったんです。吉村家さんもなんですが、横浜の環2家さんが一番好きだったので、最初はそこで働きたいなと思っていたんです。でも客側から見てもあまりに厳しそうに見えたので、ちょっと自分では無理だなと思いました。」

 

- 某A店も十分に厳しそうですがね(笑)。

「当時の無知な僕にとっては、某A店はメニューも少ないですし、ちょっと甘い考えでそんなに大変じゃないだろうと思ったんです。もちろん入ってみたら、とても大変でしたよ(笑)。駅地下店オープンのちょっと前だったので、凄く募集をかけていた時期でした。それで僕が入って半年後くらいに駅下のお店がオープンし、そのまま立ち上げの手伝いもさせて頂きました。」

 

- 初めてラーメン屋で働いて、どうでしたか?

「本当に大変だなと驚きましたね。食べ手の時は営業中しか見ていないので、実際に入ってみると全く違う世界があるんだなと分かりました。寧ろ見えていない部分の方がメインになるくらい大変でしたね。某A店では約2年ほどお世話になりました。」

 

- 当時、独立志望はあったんですか?

「現実的に見えているわけでなく、某A店での後半の頃は『自分のお店をやれたないいな~』と薄っすらと考えていましたね。」

 

- そのお店を離れてからは?

「その頃には自分はラーメンの道でやっていこうと決めていました。某二郎系、資本系のお店、タンメンのお店、いろんなお店で経験を積んでいきました。唯一、豚骨だけが未経験でしたね。」



- 浜松に来たきっかけは?

「僕の後輩が某B店のオーナーと知り合いで、その方から『浜松にお店を出すので手伝ってくれないか?』と話が来たんです。ちょうど僕も『そろそろ違う所で修業しようかな?』と思っていた頃だったので、浜松に来ることを決めました。それが今から5年前くらいですね。」

 

- 某B店では?

「約2年ほどお世話になっていたんですが、最初に聞いていた話と違う方向へ向かっていたので、このままいても仕方ないなと離れることに決めました。その時に意を決して、自分でやろうと思いました。」


らーめん豚鬼(2016年4月9日オープン)


- 屋号の由来は?

「最初、喜ぶという字を使いたくて"豚喜"で考えていたんですが、調べてみると東京にその屋号のお店があったんです。それでちょっと違うのを考えて、画数も見て"鬼"にしたんです。キャラクターが思い浮かんだんですよ。怖い感じじゃなく、可愛い感じの鬼。それで知り合いにイメージを伝えて、キャラクターを作ってもらいました。」

- 浜松でしようと思った理由は?

「関東に戻ることも考えましたが、浜松で知り合いも凄く増えていましたし、人も温かい浜松が街として好きで、こっちでやってみようかなと思いました。」

 

- 提供するラーメンは決めていたんですか?

「いろいろ考えましたが、自分が豚骨を好きだったのと、修業先の味をやりたくなかったんですよ。(修業した)どこかの味ですると、売れても売れなくても人のせいにしてしまいそうな自分がいたんです。全て自分の責任でしたかったんです。」

 

- 最初から朝ラー営業を考えていたんですか?

「はい。浜松は工場が多いので、夜勤明けの方がけっこう来てくれるなと思ったのと、自分が休みの日に朝一で病院に行った後、ごはんを食べるところが無いんですよね。それで、この時間に営業しててもいいなと思いました。11時から始めて14時頃に閉めるとか絶対のルールは無いので、常識を変えたかったというのもあります。」


メニュー(撮影日:2018年9月23日)


- オープン時のメニューは?

「最初の1週間は豚骨だけで、それから煮干し、和風豚骨を加えて営業していました。」

 

- 看板の豚骨について紹介お願いします。

「豚骨を売りにしているので、豚骨の悪い部分、嫌なイメージを取っ払いたかったんですよ。今までの常識を変えたかった。豚骨ってどうしても、臭い、油が凄い、店内がベトベトするってイメージですよね。ウチの豚骨は匂いを取ってしまって、店内で炊いていても臭くない、ベトベトしないということを意識して作っています。その結果、朝から女性が一人で食べに来てくれたりしますし、今まで豚骨を避けていた方達が食べに来てくれていると思います。

 豚骨の作り方も、従来のお店は強火でガンガン炊いてって感じですが、僕は豚骨屋での経験が無かったのでオリジナルの作り方なんですよ。」

 

- 煮干しについて紹介お願いします。

「朝から営業するので、豚骨だけじゃなく、煮干しもある方がカップルや家族客も来やすくなるだろうなと考えました。今、濃い煮干しが流行っていますが、ウチは豚骨が濃厚系なので、煮干しは真逆をやろうと思いました。」

 

- 今回頂いた味噌豚骨もとても美味しかったです!

「浜松で味噌ラーメンがあまり無かったので、ウチでしようと思いました。味噌ダレには赤・白・八丁味噌をブレンドしています。意外と白味噌の感じがよく出ていて、白と豚骨の相性が凄くいいなと思っています。」



 <店舗情報>

■らーめん豚鬼

住所:静岡県浜松市中区上島1-26-19

Twitter:https://twitter.com/tonki_ra_men

オープン日:2016年4月9

 

 (取材・文・写真 KRK 平成30年9月23日)