Vol.106:麺や 江陽軒


 多くの観光客で賑わっている国宝"彦根城"がある滋賀県彦根市に、2018年10月に一軒のラーメン屋がオープンした。すぐにSNSで話題になっていたので気になって調べてみると、店主は大阪の名店"麺屋えぐち"出身の方。すぐに彦根市まで行って食べてみたら、オープン直後とは思えないレベルの高い一杯に驚かされた。看板メニューである中華そばは、魚介出汁をしっかり出した滋味深い味わいで、誰もがホッとできる一杯に仕上げられている。

 知り合いを通して取材を申し込んでOKをいただいたので、再び彦根市まで足を運ぶこととなった。独立までの経緯、彦根市を選んだ理由などいろいろ聞いてみようと思う。"麺や 江陽軒"森垣店主にKRK直撃インタビュー!


- 出身は?

「京都府です。」

 

- ラーメンは昔から好きだったんですか?

「ラーメンを食べるのは好きでしたね。実家が中華料理屋をしていて、そこで中華とかラーメンを食べていました。両親がやっていたので店の手伝いも時々していました。」

 

- その頃から自分も飲食をしようと思っていたんですか?

「親の苦労をずっと見ていたので、逆に『飲食店は厳しいな』と思っていました。それで社会人になってからは車の整備士の仕事をしていました。整備士の仕事で愛知県に移って10年ほど経った頃に、僕は長男だったので『京都の実家にいつか帰らないとな』と思い始めました。それで関西に帰るタイミングで転職をしないといけないなと考えていました。」

 

- したいことがあったんですか?

「その頃にいろんな方と出会い刺激を受けていて、何か自分でできることがあるのかなと考えていました。その中でラーメンを食べるのが好きだったので、ラーメン屋が浮かびました。」


- 修業先に麺屋えぐちを選んだ理由は?

「京都や大阪で探していて、ある時、麺屋えぐちさんの募集を見つけたんです。その時点ではまだ麵屋えぐちさんを全く知らなかったんですが、面接に行くと店の雰囲気とか凄く良くて、そういうので選びましたね。」

 

- 初めてラーメン屋で働いて、どうでしたか?

「子供の頃から実家のお店を見ていたので、しんどいとはある程度覚悟はしていたんですが、それを超えていましたね(笑)。でもやめたら終わり、続けることが大事だなと思ってやっていました。」

 

- 麺屋えぐちでの修業期間は?

「5年ほどお世話になりました。本店がほとんどでしたね。辞める2カ月前くらいに、自分の引き出しを増やすために2号店でもちょっとだけ働かせてもらいました。」


麺や 江陽軒(2018年10月15日オープン)


- 屋号の由来は?

「ウチの実家のお店が江陽軒だったんです。他にもいろいろ考えたんですが、全部しっくりこなかったですね。それで『江陽軒っていい名前だな!』と思って、それに決めました。」

 

- お店の場所はいろいろ探したんですか?

「最初、兵庫とか大阪の北の方も探していました。ある日、滋賀にラーメン食べ歩きで行った際、こういう味(麺屋えぐちの味)が滋賀には無いなって気づきました。それで滋賀でお店をするのもいいなと考え始めました。ウチの実家が京都で、嫁の実家が石川県なので、滋賀はちょうど間なのもいいなと思った理由の1つです。それから縁があって、この場所と出会うことになりました。」

 

- 自分のお店で提供するラーメンは?

「独立する前からこの路線でやろうと決めていました。オリジナルといえば、生姜ごはんですね。小さい頃から生姜ごはんが好きで、『炊き込みごはんってラーメン屋にあまりないな』と思い、いろいろ試してお客様に出せるものができました。」

 

- 森垣店主が大事にしていること。

「大事にしているのは、お客様にまた来ようと思ってもらえるような接客です。美味しいラーメン屋はたくさんありますが、ラーメンを更に美味しくする調味料は"人"だと思うんです。接客一つでラーメンの味も変わってくる。バイトのスタッフ達にそれを強要するのは難しいので、自分からそういう背中を見せていけるように心掛けています。」



 <店舗情報>

■麺や 江陽軒

住所:滋賀県彦根市蓮台寺町50-36

Twitter:https://twitter.com/ko_yo_ken

instagram:https://www.instagram.com/ko_yo_ken/

オープン日:2018年10月15日

 (取材・文・写真 KRK 平成30年11月17日)