Vol.127:麺者すぐれ


 2017年7月、所用で一宮市を訪れた時、気になっていた新店でランチをした。屋号は"麦の道 すぐれ"。鯛出汁のラーメンがあまりにも美味しかったので、お店について調べてみると春日井市にある"麺者すぐれ"の2号店ということだった。あれから「いつか行きたい」と思っていて、今回、やっと春日井市に来る機会があり、せっかくだから高松オーナーに取材する時間も作っていただいた。"麺者すぐれ"高松オーナーにKRK直撃インタビュー!


- 出身は?

「名古屋の中村区です。」

 

- 飲食に興味を持ったきっかけは?

「元々、父親が柳橋中央市場で魚の卸をしていました。僕は大学を卒業してサラリーマンをしていたんですが、『何か飲食をやりたいな』という気持ちがずっとありました。それで寿司や居酒屋などしている某グループに入ることに決めました。

 

- 当時、ラーメンは?

「好きは好きでしたがそんなに詳しいこともなく、近所のラーメン店に行く程度でしたね。」

 

- ラーメンに興味を持つきっかけは?

「仕事の関係で、東京でラーメン屋をしている方と知り合ったんです。その方に『自分は飲食店をしたいんです。』と言うと、『ラーメン屋には興味はないの?』と言われました。その時に初めて『あ~、ラーメン屋という道もあるんだな!』と思いました。

 当時は居酒屋がけっこう厳しくなってきていて、それで『ちょっと居酒屋で独立は厳しいかな?』と考えていたんです。それでその方が『ラーメン屋は今いいよ~』と言っていたので、当時、僕は26歳で勢いもあったので、『やってみよう!』とすぐに決心しました。」


- その知り合いのお店で修業したんですか?

「はい。東京に行き、その方がしているお店でお世話になることになりました。昔あった"ラーメン大戦争ビル"、1階から4階まで全てその方のラーメン店で、二郎系のお店、鶏そば店、つけ麺店、いろんなジャンルが同じビル内にあったんです。」

 

- 自分でやりたいと思ったジャンルは? 

「最初はつけ麺ってスープがぬるくなるとか悪い印象があったんですが、東京にいる間にいろんな有名店でつけ麺を食べてみて、『つけ麺ってこんなに美味しいんだ!』と驚きました。それで『自分はつけ麺がやりたいです!』と言い、同ビル内のつけ麺店中心で勉強させていただきました。」


麺者すぐれ(2009年オープン)


- この場所に決めた理由は?

「東京から帰ってきて、半年くらいでこの場所で始めました。この場所は風水で中村区からこっちの方角がいいとか、店の前の交通が制限速度何キロならこれくらいのお店と看板とかも考えて決めました。交通量も多いし、駐車場もありましたしね。この地域に縁も所縁も何も無いんですが、それだけの理由で決めました。」

 

- 屋号の由来は?

「僕のおじいちゃんの名前、"高松すぐれ"から決めました。おじいちゃんは僕が7歳の時に亡くなったんですけど、おじいちゃんが好きだったんです。つけ麺なので麺が主役なので、"麺者すぐれ"にしました。」

 

- オープン時の商品は?

「最初は魚介豚骨のつけ麺とラーメン。売れていたのはつけ麺が7割くらいでした。最初の3年くらいは奥さんと二人でやっていたんですけど本当に暇でしたね。」

 

- つけ麺へのお客様の反応は?

「今でこそ直火の器で愛知県のグツグツなのを取り入れていますけど、東京ではつけ汁がぬるくなって当然だって感じだったので、最初は普通の器で提供していました。

 当時はつけ麺に慣れていないお客様がほとんどだったので、『冷たい麺で熱いスープっておかしいんじゃないの?こんなのでいいの?』とか、お客様からいろいろご意見を頂いていました。」


すぐれつけ麺


- 自家製麺導入のきっかけは?

「オープン当初は麺を打っていなかったんですが、ずっと自家製麺をしたかったんです。店が5年目の頃、売上もちょっとずつ右に上向きになってきていたんですけど、まだほぼ真っ平くらい。『何かを変えないといけないな!』と思ったんです。

 それで情報収集をしている時、大和製作所の製麺体験のチラシを見つけたんです。それに行って自分で作ってみるとやっぱり美味しい。それで『麺を打ちたいな!』という気持ちが強くなって、すぐに大和の製麺機を購入しました。」

 

- そのセミナーだけで、あとは自己流だったんですか?

「はい。開始当初は『前の麺が良かった。ガチガチの麺で単に太いだけだ!』とか、いろいろ批判されていましたね。」


麦の道すぐれ(2017年3月13日オープン)


- 2号店の場所を一宮市に選んだ理由は?

「知り合いの酒屋さんが紹介してくれたんです。いろいろ調べてみたら、JR一宮駅って愛知県で2番目の乗降者数(一番は名古屋駅)ということだし、駅の近くだとアルバイトさんも集めやすい。それで決めました。」

 

- 屋号「麦の道すぐれ」の由来は?

「本店と違って、2号店は『最初から自家製麺を主役でいきたいな!』と思っていたので、"麦の道すぐれ"とつけました。」

 

- 2号店のコンセプト?

「鮮魚と自家製麺。鯛というか、鮮魚を使いたいなって気持ちがありました。父親は既に引退していましたが、市場との繋がりはある。僕が小さい頃に市場でよく遊んでもらっていた人たちが、現在、市場でバリバリ働いているので仕入れもしやすいんです。

 お寿司屋さんとかに身だけを卸して、残りを全て仕入れさせてもらうんですよ。鯛の頭とカマと中骨ですね。全部分解して下処理をして、部位ごとにオーブンで焼いたり、野菜と昆布で炊いたりとかしています。」

 

- 影響を受けたお店はありますか?

「東京の麺魚さん(真鯛らーめん麺魚)、灯花さん(鯛塩そば灯花)に食べにいって、こういう感じのも面白いなと思いましたね。」


炙り真鯛らーめん


- 今は順調ですか?

「ラーメン屋の勢いがあるといっても、高評価されていた店が2~3年後に閉店してしまったりしている。だからウチもずっとレベルを上げていかないと駄目だなって常に思っています。ガチ麺道場の上野さんに食事に誘ってもらったりしていて、麺もけっこう教えていただいています。そういうのもきっかけでウチの麺もだいぶ良くなってきているように思います。」

 

- 最後に一言お願いします。

「更にもっと知識を高めて、より美味いものを今日より明日、常に上がっていかないとこの商売を続けていけないと思っています。凄いなと思うお店ばかりなので、みんなで一丸になって努力していかないと駄目だなと考えています。」



 <店舗情報>

■麺者すぐれ

住所:愛知県春日井市東野町2-1-24

■麦の道すぐれ

住所:愛知県一宮市本町3-5-2

公式HP:http://menjasugure.web.fc2.com/index.html

twitter:https://twitter.com/Z4sAu06NiSFf1eo

facebook:https://www.facebook.com/menjasugure/

 (取材・文・写真 KRK 令和元年5月15日)