Vol.153:RAMEN GOTTSU


 今回取材するのは、"RAMEN GOTTSU"。店主は名門「渡なべ」での修業を経て、独立開業。「ごっつ?」と読み直してしまいそうな個性的な屋号だが、激戦区「東京」でミシュラン東京ビブグルマンとして数年間掲載され続けている名店だ。"RAMAN GOTTSU"齊藤店主にKRK直撃インタビュー!


- 出身は?

「埼玉の新座市です。」

 

- ラーメンをする前は?

「両親が共働きだったので小学生の頃から姉と自分たちで料理をしていて、親が帰ってきて食べてもらうと『美味しい!』と言ってもらうのが楽しかったですね。そういうのもあって、小さい頃は料理人になりたいな~って気持ちはありましたね。でも大きくなるにつれていろんなことに興味を持ち始めて、専門学校で服飾の学校へ行って、そこを出てからは埼玉のセレクトショップで働き始めました。」

 

- その頃、ラーメンは好きだったんですか?

「埼玉にいる頃はラーメンはほとんど食べていなかったですね。アパレルの道で『東京の有名なショップに入るぞ!』と頑張っていたんですがどこも採用されなくて受からなくて、それで一線じゃない所でするならもうやめようと思いました。

 それから配送業を始めました。バイクで都内近郊を廻る仕事だったので、休憩中にラーメンを食べるようになったんです。都内、埼玉、千葉、神奈川、いろいろ行けるので、ラーメンの雑誌を買って『今日はここで休憩だから、どの店に行こうかな?』とか考えていましたね。」

 

- 本格的にラーメンに嵌ってきたんですね。

「他のご飯よりやっぱり満足度が高いんですよね。食べた感もあるし、コレクト感もある。それで楽しくなって嵌りましたね~。当時は魚介豚骨が圧倒的な人気で、六厘舎さん、とみ田さん。そんな中に"渡なべ"もあって、けっこう休憩のタイミングで"渡なべ"に行く機会が多くて『美味しいな~』って思っていたんです。若い頃はこってりが好きだったので、魚介豚骨や家系とか食べることが多かったですね。」


- 作る側への興味を持ったのは?

「配送業だと手に職って感じじゃなかったし、職人になりたいと思っていました。やっぱり料理をするのも好きでしたからね。ラーメンって一筋というイメージ。和食料理だと、あれも作ってこれも作ってとなるじゃないですか。全部を突き詰めないといけない。でもラーメン一本なら自分も突き詰められるんじゃないかと思いました。」

 

- 修業店として"渡なべ"を選んだ理由は?

「当時流行っていたお店は、タオル巻いてズラ~っとスタッフが大勢いるような、怖いじゃないですけどそういうイメージがあったんです。それに対して"渡なべ"ってスタイリッシュだったんですよね。『他のラーメン屋さんと違うな~。かっこいいな!ここなら働いてみたいかも?』という気持ちになりました。それで券売機に小さくスタッフ募集って貼ってあったので、すぐに電話して採用してもらいました。」

 

- 初めてラーメン屋で働き始めて、どうでしたか?

「全然違う世界で、とりあえず立つってことすらままならない。立っているのも疲れましたね。でも渡なべは求めれば何でもやらせてくれたんですよ。僕はラーメンの作り方も全く知らなかったので、もう好奇心でしかなかったんですよ。だから製麺を見せてもらったり、スープの作り方を見ていると楽しくて仕方なかったんです。そういう積極性も認めてもらえたのか、入って3カ月目くらいで製麺やスープ作りもやらせてもらうようになりました。その時はとにかく楽しくて、『もう休みなんていらない!』と思っていましたね。だから僕の休みの日に誰かが限定をするって時は、休み返上して見に行っていましたね。」

 

- 当時、独立志望はあったんですか?

「無かったと言えば嘘になりますが、本当に独立なんて想像ができなかったですね。」

 

- 独立を決心したきっかけは?

「2年目の頃から"渡なべ"がプロデュースしているお店にも行かせてもらうようになってきたんです。自分よりラーメン経験が長い人に自分が教えたりとか、ゼロから立ち上げることなどしている内に、『あれ?自分でももうできるんじゃないかな?』と思ったんです。それで3年目の時に独立したいと伝えました。"渡なべ"では3年半ほどお世話になりました。」


RAMEN GOTTSU(2013年3月12日オープン)


- この場所を選んだ理由は?

「最初、実家の近くで探していたんですがなかなか物件が無くて、この路線の中で西側、それで人が多いのが練馬でした。僕がオープンした頃はまだあまりラーメン屋さんが無かったんです。当初、僕はワンオペでするつもりだったので、この物件を見つけた時、場所的にも凄いいいじゃんと思ったんです。」

 

- 屋号の由来は?

「高校の頃、ちょっと太っていてあだ名がゴッツだったんです。それでずっとゴッツだったので、屋号を考えていた時に『ゴッツが分かりやすいかな?』と思いました。でも平仮名で"ごっつ"というお店が既に他にあったし、平仮名やカタカナだと"ゴツイ"イメージになるかなって思ったので、『アルファベットならいいかな?』と考え、RAMEN GOTTSUと決めました。」


GOTTSUらーめん


- 提供する商品はすぐに決まりましたか?

「基本的には"渡なべ"で学んだことがベースですけど、実は"渡なべ"と同じものをほぼ使っていないんですよ。できる限り"渡なべ"と離した方向で、でも自分は魚介豚骨が好きなのでしたい。例えば『向こうが拳骨なら、こっちは背骨だ』みたいな感じです。ウチのテーマは毎日食べれるような魚介豚骨。」

 

- GOTTSUのラーメンは、これだけ濃厚なのに後口がとても良いですよね。

「やっぱり濃厚系って油に頼るじゃないですか?油に頼るとクドくなるんですよね。ウチは油は一切入れていなくて、骨に付いているのが少し入ったりするくらいです。」


- オープンしてから順調でしたか?

「オープン初日はブロガーさんや評論家さんが来てくれていましたが、それからしばらくはけっこう集客には苦労しましたね。最初の1年くらいは、ワンオペでもそんなに大変じゃないってほどでしたからね。1年半ほど経ってミシュラン(ミシュラン東京ビブグルマン)に載せてもらってから、お客様が増えていきました。」

 

- 今後、目指す方向は?

「今まではそういうのはあまり考えていなかったんですが、最近、将来はこうなりたいと考えることが増えてきました。多店舗出したいとかじゃなく、もう少しお店を大きくしたいんですよね。理由は、もっと多くの人に食べてもらいたい。子連れでも、身体が不自由な方でも、いろんな人が気軽に入れるお店にしたいんです。ラーメン屋さんって限られてくる部分があるじゃないですか。四つ葉さん(埼玉)のような老若男女が行けるようなお店。ああいうのが理想だな~って思いますね。」

 

- 齊藤店主が大事にしていることは?

「接客には拘りがありますね。痒い所に手が届く接客。『このお店、親切だな~』と思ってもらえると、美味しいものがより美味しく感じてもらえると思うんです。味だけでなく接客も含めて、より多くのお客様に美味しいと言ってもらえるようにしたいですね。」



 <店舗情報>

■RAMEN GOTTSU

東京都練馬区練馬1-29-16

公式ブログ:https://ameblo.jp/ra-men-gottsu/

twitter:https://twitter.com/RAMENGOTTSU

オープン日:2013年3月12日

 (取材・文・写真 KRK 令和2年2月5日)