Vol.180:支那そば 讃岐ロック


 「うどん県」として有名な香川県に異彩を放つラーメン屋がある。屋号は「讃岐ロック」。私が初めて訪れたのは2016年6月。明るい商店街から暗い路地に入ったところにそのお店があった。今でこそ香川県にもラーメン屋が増えてきて個人店も活躍しているが、当時は本当にラーメン屋が少なかった。きっと当時のラーメンファンには貴重な存在のお店だったんだろうと思う。

 今回取材をする時間を作っていただけたので、屋号の由来など気になることをいろいろ聞いてこようと思う。「志那そば 讃岐ロック」青木店主にKRK直撃インタビュー!


- 出身は?

「高松です。ここが地元です。」

 

- ラーメンは昔から好きだったんですか?

「ほとんど食べてなかったですね。東京に10年以上いた頃もラーメンはたぶん2~3杯しか食べた記憶が無いですからね。どっちかと言えば蕎麦好きです。」

 

- ラーメン屋をするきっかけは?

「親父がラーメン屋をしていたんです。全然ジャンルが違っていて豚骨ラーメンのお店でしたが、それがきっかけと言えばきっかけですね。」

 

- ラーメン屋したいって気持ちは昔から?

「全く考えていなかったですね。親父の跡を継いでラーメン屋をしたわけでなく、脱サラをしてラーメン屋を始めただけ。たまたま同じラーメン屋だったというだけです。脱サラしてラーメン屋をしようと思った理由は立ち上げの資金とか簡単だったから。誰でも"始めること"はできますからね。」



- ラーメンの作り方とかどこかで学んだんですか?

「親父のラーメン屋はジャンルが違いましたから、完全に独学です。お客さんにも『どこで修業したんですか?』ってよく聞かれるんですよ。修業していないとお店したらいかんの?って(笑)。ラーメンの技術本を買ってきたりして、それを真似をするわけでなく『あ~、こういうものか』という感じでしたね。」

 

- 作りたかったのは白湯でなく、清湯?

「そうですね。やっぱり清湯スープで『美味しい!』とお客さんに言ってもらうことは難しい。だから清湯をしたかったんです。簡単にできるラーメンもあるけど、僕は簡単にできないラーメンをやりたかった。さっきも言いましたけどラーメン屋を始めることは簡単だけど、簡単に作れるラーメンをしていたら3年~5年でみんな潰れていきます。」

 

- そういう考えはどこから?

「ラーメン屋を始めた時、ココじゃなくて大きな商業施設(マリタイムプラザ「ラーメン築港」)でしていたんです。でもある時に『このまま商業施設で提供するラーメンを作っていたら入れ替えで終わりだな』と思い、それでやめようと思いました。商業施設のラーメン屋をやめてからしばらくは別の仕事をしていたんですが、やっぱりラーメン屋がしたいなと思いました。」

 

- この場所で再出発となるんですね。

「たまたま親父の繋がりでこの物件が見つかって、2014年5月から始めました。この物件は20年くらいずっとラーメン屋だったから、そのまま入れましたしね。」



- 屋号の由来は?

「特になんの意味もない(笑)。商業施設で始める時に『早く店の名前を決めて!15時までに決めて!』と言われて(笑)、それで有線が流れていてフッと『讃岐ロック』が浮かんできたんです。」

 

- ロックバンドをしていたとかじゃないんですね?

「みんなに聞かれるんですが、全くバンドなんてしたことない。まあ憶えやすいでしょ?漢字とカタカナを合わせた屋号もあまり無いし、みんなロック、ロックって憶えてくれるから。この辺はライブハウスが多いし僕が髪長かったこともあるんですが、『どこでバンドしてるんですか?』ってよく聞かれましたね(笑)。」

 

- それは面白い(笑)

「ロックとはなんの繋がりも無かったって(笑)。金髪でロン毛だったけどロックはしていない。ウチは広告とかテレビの取材とか一切断っていますが、太った兄ちゃんとか、金髪の兄ちゃん、ロックとか、そういう感じでお客さんに憶えてもらえたら嬉しい。」


◆醤油ラーメン


- 商品の紹介をお願いします。

「スープに使っているのは鶏と煮干し。以上!野菜も使っていません。チャーシューに使う肉とかはたまたま見つけてこれを使ってみようとかですね。こっちは都会と比べたら食材屋さんが少ないんです。食べ歩きはしないんですけどラーメンの写真とか見て、盛り付けの参考にはしています。」


- 商業施設時代も含めると、今年(2020年)で何年目なんですか? 

「今年で11年目になります。」

 

- ラーメン店主として大事にしていることは?

「商品に関して手を抜かないこと。例えばちょっと二日酔いでしんどいからスープを水増しするとか、チャーシューも煮豚でいいやんとか。そういうことはしない。ネギを既に切ったものを買うお店とかありますけど、ああいうのはもうガッカリですよね。僕は食べるものに関しては決して手を抜かない。他のことはけっこうダラダラしているけど(笑)。」


 <店舗情報>

支那そば 讃岐ロック

住所:香川県高松市常磐町2-1-1

twitter:https://twitter.com/sanukirock3

オープン日:2014年5月22日

 (取材・文・写真 KRK 令和2年6月30日)