Vol.185:麺屋 K


 今回の取材店は「ならまち」の観光客で賑わう「餅飯殿センター街」で2020年1月6日にオープンした麺屋 K。北尾店主と初めてお会いしたのは、数年前に玉造の人気店「ラーメン人生JET600」を味噌ラーメン特集の取材で訪れた時だった。当時、そのお店で修行中だった北尾店主から「いつか地元奈良でラーメン屋をする予定ですので宜しくお願いします。」と挨拶してもらい、「お〜、JET出身者が奈良に!」ととても嬉しかったのを昨日のことのように覚えている。

 オープンして約8ヶ月が経ち、既に行列店となっている今、取材をするには良いタイミングだと思い時間を作っていただいた。「麺屋 K」北尾店主にKRK直撃インタビュー!


- 出身は?

「生まれは大阪ですが、小学校から奈良に住んでいます。この辺りが地元です。」

 

- 昔からラーメンは好きだったんですか?

「昔から食べ歩きをしていました。無鉄砲さんから始まって、京都の一条寺までけっこう広い範囲を『どんなラーメンがあるんだろう?』って雑誌見ながら食べ歩きしていました。」

 

- 作る側に興味を持ったきっかけは?

「映像の専門学校とかも行っていたんですけど、30歳頃になってもう一回、自分は何をしたいんだろうと自分に問いただしたんです。それでラーメンが凄い好きだったので、飲食をまだしたことなかったので一度してみようと思いました。」

 

- どこかのラーメン屋で修業?

「未経験でいきなり大阪とか京都のラーメン店に入ってもついていけないと思ったので、まずはうどんの某チェーン店でアルバイトを始めました。そこで飲食の仕事に慣れてから、大阪か京都の個人店で働こうと考えていました。」

 

- 独立志望はあったんですか?

「はい。いつかは奈良に帰って自分の店をしようと決めていました。大阪や京都で修業して、そのラーメンを奈良に持って帰ってきたかったんです。その方がお客さんも楽しんでもらえると思いました。」


- 計画通りにその後、ラーメン屋に?

「はい。当時、つけ麺が好きだったので、福島区にあった『つけ麺 紋次郎』で働き始めました。当時、堀川さん(らーめん小僧 堀川店主)がいらっしゃったので、いろいろ学ばせていただきました。」

 

- JETとの出会いはその頃?

「営業終わってからJETに食べに行っていたんですけど、『もう美味すぎる!』と衝撃を受けていました。JETの麺が凄く美味しかったんですよね~。それで募集しているのを知ったので電話してみました。その時は既に埋まっていて『今は無理』と言われたんですが、数日後にすぐに電話かかってきて『働けますか?』と聞かれました。それで紋次郎の店長さんにJETで働きたいと伝えて、一か月後にJETに入りました。」

 

- JETに入ってどうでしたか?

「忙し過ぎてびっくりしました。スタッフのみんなの動きも早くて!もういっぱいいっぱいでしたね。でもJETで続かなければ奈良に帰ってもアカンやろうなって思って、しんどくても食らいついてやろうって頑張っていました。JETのみんなはラーメンへの情熱が凄くて、『どうやったら美味くなるだろう?』と常に考えながら働いていました。ちょっとしたらすぐに麺とか変えるんですよ。粉の配合とかスープも。」

 

- JETでの修業は何年ほど?

「5年半ほどお世話になりました。最初は福島本店で桐谷さん(現・桐麺店主)の下で働いていて、それから玉造のJET 600で奏さん(現・ラーメン奏 店主)の下で働いていました。奏さんが独立してから僕が2年ほどJET600の店長を務めさせていただきました。」


麺屋 K(2020年1月6日オープン)


- 屋号の由来は?

「僕の名前が北尾なのでイニシャルがK。それで麺屋 Kです。元々はJET時代、シフトにアルファベットでKって書いてあってみんなに『Kさん、Kさん』って呼ばれていたんです。それで自分の中でKがしっくりくるので決めました。」

 

- この場所に決めた理由は?

「物件はJETを離れてから探し始めましたね。最初は駐車場がある所とか考えていましたが、この物件を知り合いに紹介してもらった時に『違う形で勝負したいな!』って気持ちが出てきました。この場所は近くに世界遺産があるので観光客が多い。この場所で僕が本格的な個人店のラーメン屋をしたら面白いだろうなって思いました。只、地元の方がサッと気軽に寄れる場所じゃないので怖さもありました。」

 

- 落ち着いた雰囲気のお店ですね。

「内装にはとても拘りました。女性、男性、年配の方でも一人で気軽に入れるお店。お洒落過ぎても駄目だし、THEラーメン屋みたいにすると女性は入りにくい。だからちょうどいい感じを狙いました。『ならまち』の雰囲気も取り入れていて、外観と内観のギャップも楽しんでもらえたらと思います。」


- 商品の紹介をお願いします。

「鶏ラーメンはこってり好きな方に食べてもらって、鶏魚はすっきり仕上げているので年配の方にも食べていただけると思います。オープンして営業しながら、お客さんの反応を見ながら少しずつ味を変えていっています。麺にもとても拘っていて、オープンの頃よりも粉も二種類くらい増やしていますね。」



- 兄弟子の皆さんとは付き合いが続いているんですね。

「桐谷さんと奏さんには何か分からないことがあったらすぐに電話しますからね。『小麦畑を見に行こう!』って三人で北海道へ行って小麦を作っている所や畑を見てきました。 

 本当にJETに入ってよかったなと思います。あのタイミング、あの時期にJETに行ったから桐谷さん、奏さんに出会えました。この二人はラーメンへの情熱が凄い!二人がいなければ麺屋Kはこんなスタートができなかったと思います。素敵な先輩たちに出会わせてくれたJETにも感謝しきれません。」



- 北尾店主が大事にしていることは?

「僕の中で当たり前のことなんですが、全部手造り。全ての商品は僕の手造りです。こういう場所なので観光やかき氷のついででも全然いいんです。どんな形でもいいので僕のラーメンを食べてもらえたら嬉しいです。地元の方にももっと来て欲しいですね。」



 <店舗情報>

麺屋 K

奈良県奈良市光明院町9

twitter:https://twitter.com/K16220075

オープン日:2020年1月6日

 (取材・文・写真 KRK 令和2年8月11日)