Vol.224:麺麓 menroku


 今回取材するのは「麺麓 menroku」松永店主。2016年に枚方市にて鴨ラーメン専門店「麺麓」をオープンし人気を博し、その2年後に次の一手として世間をあっと驚かせたのが、世界初の絵文字が屋号の店「🦆🍜」。そして最近ではYouTubeでの活躍も話題になっている。フレンチ、そして海外での事業展開と幅広く活躍してきた松永店主ならではの自由な発想で更に勢いを増す注目店が、2021年7月末に京都・烏丸御池に新店をオープンする。

 取材するにはこのタイミングがベストと思い、松永店主に取材する時間を作っていただいた。「麺麓 menroku」松永店主にKRK直撃インタビュー!


◆新店情報

麺麓 menroku 烏丸御池店

京都府京都市中京区笹屋町446-2 井上ビル地下一階

twitter:https://twitter.com/menroku_oike

instagram:https://www.instagram.com/menroku_oike/

オープン日:2021年7月30日(7月7日~プレオープン)


◆烏丸御池店 7月30日オープン!


- 出身は?

「神戸市です。」

 

- 元々ラーメンが好きだったんですか?

「叔父が兵庫県を中心に、関西、名古屋まで展開している有名なラーメン屋をしていて、僕も高校の時からアルバイトでがっつりラーメン屋で働いていました。」

 

- 将来はラーメン屋をすると考えていたんですか?

「何かお店をしたいという気持ちは強かったんですが、当時はまだラーメン屋については全く考えていなかったです。料理の勉強をしたくて、高校卒業してフレンチ(フランス料理)に行きました。叔父も元々フレンチをしてからラーメン屋を始めたようです。フレンチは6年ほどしていました。」


- フレンチを離れてからは?

「神戸市でラーメンのフランチャイズ店で起業して、3店舗ほどしていました。それから弟にその会社は任せて僕は海外へ行きました。」

 

- 話が色々飛んで追いきれませんね(笑)。海外でもラーメン屋を??

「元々、海外への憧れが強かったんです。海外でラーメン屋のチェーン化をしようと会社を作りました。シンガポールとインドネシアです。 ASEAN(東南アジア諸国連合)で100店舗展開を目標にして大掛かりな工場も作ったりしていたんですけど、いろいろトラブルに巻き込まれて頓挫してしまいました。正直、海外事業は失敗しましたね。」

 

- 日本に戻ることに?

「海外から撤退して、またゼロからスタートしたいという気持ちでした。海外で会社を経営している頃はスタッフの顔と名前が一致しなくなったりとか、食材も規模感で安く値切ったりとか儲けることばかりを考えていました。お客さんの顔も見ていなくて、数字しか見ていなかったんです。」

 

- 具体的には?

「弟に任せていた神戸の会社は弟に譲って、僕は麺麓を立ち上げました。もう一回、自分ががっつり現場に入ってゼロからやりたいと思いました。そして生産者さんとも対面で話したり、生産現場に伺ったりしています。一回行くだけではなくて定期的にお手伝いをしに行ったり、収穫を手伝ったりして『最近調子はどうですか?』とか顔を合わせて話すのが大事だなと思いました。」


◆麺麓 menroku 枚方本店


- 枚方市を選んだのは?

「特に何も考えていなくて、枚方市のラーメン事情も知らずにオープンした感じです。」

 

- 屋号「麺麓」の由来は?

「父親が鹿児島県の(出水市)麓町の出身で武士の家系なんです。父親は『本籍だけは変えるな!』と言ったまま亡くなったので本籍は麓町のままなんですが、僕は行ったことはないんです。その麓町の麓に麺を付けて麺麓と名付けさせてもらいました。」

 

- 当時珍しかった鴨専門にしたのは?

「元々フレンチをしている時から鴨が好きで、神戸のフレンチで鴨を食べ歩いたりもしていたほどなんです。フレンチでも鴨出汁を取るんですけど、『この鴨出汁でラーメンをしたら美味しいんだろうな〜』と昔から思っていたんです。」

 

- 鴨の生産者さんとはフレンチの頃からの付き合いなんですか?

「麺麓をすると決めた時にいろいろ電話したりして、生産環境が凄く良かったので和歌山の太田さん(太田養鶏場)に決めました。」

 

- 鴨だけでなく、麺麓の商品には和歌山の桃や有田みかんも使われていますね。

「美味しい食材を探していたら和歌山に辿り着いたんです。それとやっぱり同じ地域の食材同士の相性はいいんですよね。」


◆🦆🍜(Gion Duck Noodles)


- そしてセカンドブランド店で祇園に進出。祇園は狙っていたんですか?

「はい。今でも海外思考は強いですし、あの当時(コロナ禍になる前)は昔みたいに外(国外)に出なくても、外から来てくれていたんです。日本人も含めて世界中からいろんな人が集まるというので祇園は狙っていました。外国人に振り過ぎるのは嫌で、日本人にもきっちり評価される店を作りたいと思っています。」

 

- 絵文字の屋号も話題になりましたね。

「場所が決まってから絵文字の屋号のアイデアを思いつきました。単純に面白そうかなって(笑)。敢えてメニューを分かりにくくすることによってお客さんとの接点も生まれるんです。」


◆松永店主 YouTubeチャンネル


- 自家製麺も特徴ありますね。麺は自己流ですか?

「僕はあんまり基本を知らないので、麺に関してもほぼ自己流ですね。海外でも自家製麺をしていましたけど、ライ麦を使ったりは麺麓で始めました。」

 

- クセの強いライ麦を敢えて使ったのは?

「鴨が力強いのでそれに負けない麺。どちらも野性味が強いので相性がいいと思いました。」

 

- 今後は店舗展開も積極的に?

「僕自身、昔みたいに事業展開したいという気持ちはあまり無いんですけど、弟子の未来のためとか、太田さん(太田養鶏場)のためとかもあります。店舗が増えたら生産者さんも助かりますからね。太田さんとは持ちつ持たれつ、二人三脚でずっとやっていますから。」

 

- 海外への再進出は?

「YouTubeで英語で発信したりしていますが、直営店を出したいというよりは開業支援とかコンサルをしたいですね。ラーメンって世界に誇れる日本の文化だと僕は思っているので、何かそれを支えるようなお仕事、コンサルタントとかやりたいとは思っています。」

 

- 松永店主が大事にしていることは?

「店があることによって多くの人が幸せになればと思っています。生産者さんとお客さんとスタッフ、皆んなが満足度の高いお店を作れればいいかなと思っています。」


◆店舗情報

麺麓 menroku 本店

大阪府枚方市大峰元町1-6-30

オープン日:2016年7月25日

twitter:https://twitter.com/menroku55

instagram:https://www.instagram.com/men_roku/


🦆🍜(Gion Duck Noodles)

京都府京都市東山区祇園北川329 祇園kotoビル1F

オープン日:2018年12月26日

twitter:https://twitter.com/gionducknoodles

instagram:https://www.instagram.com/gion_duck_noodles/


 (取材・文・写真 KRK 令和3年7月22日)