Vol.233:麺や なかよし


 大阪ラーメン激戦区「塚本」に新たな注目店が現れた。屋号は「麺や なかよし」。店主は同エリア屈指の人気店だった「麺や ひなた 塚本店」を店長として長く支えてきた方で、同店舗を引き継いでの独立開業となった。人気店を率いてきた確かな経験と技術、今後の活躍がとても楽しみだ。「麺や なかよし」鶴丸店主にKRK直撃インタビュー!


- 出身は?

「九州の佐賀です。」

 

- ラーメンをするきっかけは?

「中学校の時にはもうラーメン屋をやりたいと決めていました。特に憧れていた店があったわけでなく、料理も好きだったのでラーメン屋さんをやりたいなと思っていました。それで18歳から地元のラーメン屋さんで働いていました。2店舗で約4年くらいですね。当時は修行した後、そのまま地元で独立したいと考えていました。」

 

- 佐賀から離れたきっかけは?

「経営の勉強をするために某大手の居酒屋チェーンで働いた後、大きなお店でも勉強してみようと思い、某豚骨ラーメン屋さんで約5年半くらい学ばせて頂きました。そのお店では店長までさせて頂きました。その間に東京など日本各地でラーメン食べ歩きを半年くらいかけて200軒くらいしました。

 

- 佐賀時代からずっと修業先は豚骨の店なんですね。

「僕自身はいろんなラーメンを好きなんですが、将来は佐賀でやりたいと決めていたので豚骨ラーメンを学びたいと思っていました。」


- 大阪に来るきっかけは?

「働いていた某豚骨ラーメン店からの出張で大阪に半年滞在することになりました。その時に大阪府下のラーメン屋を100軒ほど食べ歩きました。そしてひなたさん(麺や ひなた)と出会って『お〜!』と衝撃を受けました。」

 

- どのメニューに?

「全部ですね。その時のメニューは塩、醤油、鶏白湯があって全部食べに来て、その度にドンピシャで僕の好みのばかり。『ここで勉強したい!』と思って名刺を戸田店主に渡して『まだ某店に在籍していますが、どうにか説明して辞めれたら雇ってもらえないですか?」と伝えました。それでひなたさんでお世話になることになりました。」

 

- 「麺や ひなた」のラーメンに魅了された理由は?

某店である程度は豚骨を学ばせてもらっていたので、独立に向けて違うジャンルも勉強したいなと思っていました。ひなたさんのラーメンはドンピシャ!麺が自家製麺で少し柔らかめで僕の好み。福岡は硬麺が主流で、硬麺しか許されないような土地柄。こんなに優しくて、麺の特徴を生かしていていいなと思いました。」

 

- 独立の時期については話していたんですか?

「面接の時に5年くらいで独立したいと話していました。その時はまだ戸田さんの近くで勉強しながらお店をしたいという気持ちもあったので、最初の場所は大阪でもいいなと思っていました。戸田さんが『5年くらいで立派なラーメン屋さんになるように教えてあげる』と言ってくださいました。」

 

- 何年目で塚本店の店長に?

「僕が入ってちょうど一年目に尼崎の塚口店(麺や ひなた塚口店)がオープンしたので、塚本店を店長として任してもらうことになりました。戸田さんの作られたラーメンを守って、戸田さんが作ってきたお客様がいる中ですることはプレッシャーでしたね。とても良い経験ができました。」

 

- 店長として限定も?

「昨年1年間、毎月の限定という形で12作品くらい自分のオリジナルラーメンを出させてもらいました。戸田店主から『いろんな引き出しを今のうちに作っておきなさい』とアドバイス頂き、『食材も何を使ってもいいよ!』と好きにやらせてもらっていました。完成すると戸田さんに味見してもらって、提供後はお客様の反応とかを話したりして勉強させていただきました。」

 

- 独立の話は?

「戸田さんは『いつでも独立していいよ!』と言ってくださっていたんですが、コロナ過での独立は大変なので先延ばしになってしまっていたんです。それで今回、自分が『コロナ収束を待つくらいならコロナで潰れてもいいからやらせて欲しい』と戸田店主に伝えると、『それなら塚本店を使ってもいいよ!大阪でやって自信を付けてから佐賀に帰った方がいいんじゃない?』と言ってくださいました。」


◆2021年10月1日オープン


- 屋号の由来は?

「祖父がもう亡くなられているんですが佐賀で理髪店をしていたんです。その理髪店の名前が『理髪店なかよし』でした。祖父もお父さんも僕もラーメンが大好きな血筋。それでお爺ちゃん孝行できるかなと思ってお母さんに相談して、その屋号をそのまま使うことに決めました。」

 

- 自店で提供する商品については?

「ひなた塚本店でいろいろ限定ラーメンをさせてもらった中で自分が一番好きだなと思ったのが豚骨の清湯ラーメンだったんです。お客様からの評判もよかったので、豚骨の清湯をやりたいなというのが常に頭にありました。それに加えて鶏もいっぱい勉強させてもらっていたので使いたいという気持ちがあったので、『それなら鶏と豚骨で炊いたらどうかな?』と戸田さんに相談したら『面白いと思うよ!』と言ってもらえたので作ってみようと思いました。」

 

- スープのメインで使っている天草大王は?

「前に使っていた大山地鶏から天草大王に炊き替えた時、鶏感というか力強さに驚きました。鶏なのに主張が強く、その中に優しさもあると思いました。」

 

- 豚骨の清湯をしたいと思った理由は?

「限定した時に美味しいと評判がよかったんです。僕自身も好きでしたし、いつか佐賀に帰った時に九州の人にも『豚骨を使っています!』と言えますからね。」


◆なかよしらーめん


- 最終的には佐賀へ戻るんですね?

「そうですね。でもその前にせっかく関西で3年勉強させてもらってきたので、関西の人にも認められるようなラーメンを作れたという自信が欲しいです。」

 

- 鶴丸店主が大事にしていることは?

「1000円くらいまでのラーメンで、お子様からおじいちゃん・おばあちゃんまでどんな方にもウチのラーメンを食べて笑顔になってもらえるお店にしたいと思っています。僕が中学生の時にラーメン屋をしたいと決めた頃からそう思っていました。」


◆店舗情報

麺や なかよし

大阪府大阪市淀川区塚本2-29-7

Twitter:https://twitter.com/menya_nakayoshi

オープン日:2021年10月1日

 (取材・文・写真 KRK 令和3年10月5日)