Vol.235:井さい


 約2年ぶりの札幌。今回取材するのは札幌屈指の人気店「井さい」。私が初めて来たのはまだオープンして数カ月の頃だったが、店主の堂々とした佇まいに只者で無いと感じていたものだ。後から知ったが店主は東京のあの有名店でNo.2としてオープン当初から関わってきた人物だということ。東京での華やかなキャリアから札幌での独立開業までいろいろ聞いてみようと思う。「井さい」井上店主にKRK直撃インタビュー!


- ご出身は?

「東京です。両親が北海道出身で、2人が東京へ来てそして僕が生まれました。」

 

- 料理には昔から興味があったんですか?

「料理にはあまり興味は無かったんですが、父親がコックをしていたのでどこかで意識はしていたかもしれません。中学生の頃に父の厨房に入れてもらったりとかはしていました。」

 

- ラーメンを作る側になったきっかけは?

「20代前半の頃、知人の紹介で辻田さんのお店(つじ田)でアルバイトをさせてもらうことになりました。当時は特にラーメン屋で働きたいとか考えていなくて、とにかく何か仕事をしないといけないという気持ちでした。」

 

- 初めてラーメン屋で働いてどうでしたか?

「オープンして間もない頃だったのでお店もまだ有名になる前でした。まず最初に辻田さん(つじ田店主)とお話をさせて頂いてそこで衝撃を受けました。いろんな考え方だったりを聞かせて頂いて、僕の道標ができたという感じでした。それからアルバイトを半年してから正社員にならせて頂きました。」

 

- つじ田では何年ほど?

「トータルで13年くらいです。店長やマネージャーなど務めさせて頂いて本当に多くのことを学ばせてもらいました。」


- 独立のきっかけは?

「最初は独立とか全く考えていなくて、つじ田を多くの地域へ広めていきたいと考えていました。大阪のEXPOCITY店も僕が立ち上げで行っていました。しかし長くしている間に会社の体制も変わってきて、ちょっと続けていけるかなと考えるようになりました。国内でつじ田のNo.2という立場でやらせて頂いていたんですが、つじ田が好きだけどちょっと距離が離れていったような感じになりました。その時に『今の自分に何ができるかな?』と考えた時に、13年間ずっとしてきたラーメンしかないと思いました。それで独立を決断しました。」

 

- 自店の場所は悩みましたか?

「東京だと自分が関わったお店もたくさんあるので、ちょっと離れた所で勝負したいなと思いました。それでどこにしようかなと考えた時に札幌が浮かびました。理由は両親が北海道出身で、北海道の一番大きな都市が札幌。それで札幌ですることに決めました。」


◆2018年7月1日オープン


- 屋号の由来は?

「僕の名前の井上から『井』、そして異彩を放つという言葉から『さい』を取りました。今まではつじ田の看板の下でやらせてもらっていましたが、これからは自分で全てを背負ってすることになりますから。」

 

- 自店で提供する商品については?

「悩みましたね。札幌ですると決めてからご当地の味噌ラーメンも意識しました。当時、僕は煮干しラーメンが凄く好きで東京や大阪のお店で煮干しを中心に食べていたので、『煮干しでしたいな!』と考えていました。僕が作りたいような煮干しラーメン屋さんが札幌には無かったので、煮干しとつけ麺で勝負しようと思いました。つけ麺のお店も少なかったですからね。」

 

- 札幌に無いものを看板にする不安は?

「札幌に自分のやりたい煮干しのお店が無かったのでダメなのかなという不安はありましたが、でも逆にそこで美味しいものができればチャンスがあるんじゃないかなと思いました。」

 

- 煮干しへの拘りは?

「時期によって同じ産地のものでも変わってくるので少しずつ変えてます。基本のものは変えないんですけど、千葉や広島、四国とか気になったらすぐに業者さんにお願いして、試してみて良かったら使うというスタイルでしています。」



- オープンして札幌のお客様からの反応は?

「オープン当初はお客様からの反応はあんまり良くなかったように感じましたが、今は煮干しが好きな方が増えたかなという手応えを凄く感じています。そして今はつけ麺の注文率が圧倒的になってきているほどつけ麺を受け入れてもらえています。」

 

- 井上店主が大事にしていることは?

「一番は美味しくなければいけないと思っています。しかしお店の雰囲気だったり清潔さ、接客など全てが良くないと美味しいだけではお客様は来てくださらないと思っています。だからお店の清潔さ、元気よくお迎えしたりとかは常に意識しています。」


◆店舗情報

井さい

北海道札幌市中央区南6条西13-4-33 ホワイトレジデンス 1F

Twitter:https://twitter.com/isaisapporo

Facebook:https://www.facebook.com/isaisapporo/

オープン日:2018年7月1日

 (取材・文・写真 KRK 令和3年11月02日)