Vol.243:麺や もりた


 今回取材するのは大阪府堺市の「麺や もりた」。堺市の繁華街から離れた住宅街でひっそりと営業している"知る人ぞ知る"というお店だが、店主は大阪の名門「麺や 輝」からの正式卒業生だ。今回取材する時間を作ってもらったのでいろいろ聞いてみようと思う。「麺や もりた」盛田店主にKRK直撃インタビュー!


 - ご出身は?

「堺市です。堺のこの場所(現店舗の場所)で生まれ育ちました。」

 

- 飲食業に興味を持ったきっかけは?

「最初は運送業の仕事をしていたんですが、途中で飲食業に転向したいと思いました。特に理由はなくて、フラフラした性格だったので『何か飲食の仕事もしてみたいな』という感じでしたね。」

 

- 何から始めたんですか?

「幾つかの中華屋さんを転々としていたんですが、7年ほど経った頃に『自分には向いていないのかな?』と考え始めました。当時はまだ中華屋さんしか知らなかったので、『ラーメン屋さんはどんなのかな?』とラーメン屋さんでアルバイトをしてみました。働いてみるとラーメン屋さんでの仕事が凄く楽しかったんです。」


- それで本格的にラーメンをしたくなったんですね。

「はい。あまり人と接したくない性格だったので、製麺や仕込みをして作る側として仕切りがある中で働きたいと思いました。自家製麺にも興味があったので、麺打ってる小さい店で働いてみたいと探し始めました。」

 

- その条件に合ったお店は?

「募集で麺や輝さん(公式HP)を見つけました。輝さんにはまだ行ったことが無かったので、募集を見てから初めて食べに行きました。それでとても気に入ったのでこのお店で修行させてもらおうと思いました。それが今から約10年前くらいですね。」

 

- 初めて本格的なラーメン屋さんで働いてどうでしたか?

「多くの料理を作る中華屋さんと違って、ラーメン屋さんは『ラーメン1個を作るだけ』と最初は舐めていたんです。でも実際に働き始めたら全然できなくて大変でしたね。入ってからは輝系列の各店で働く機会を頂いて、本当に多くのことを学ばせて頂きました。」

 

- 当時、独立志望はあったんですか?

「3年経った頃に大将(森代表)に独立するか、暖簾分けか聞かれました。自分は独立志望はまだ全く無かったので暖簾分けを希望しました。天満の天四郎という選択肢もあったんですが、自分は『穴(輝の穴)がいい』と希望しました。」

 

- 「輝の穴」(現・にぼってる)について教えてください。

「昔、麺や輝 本店の近くに製麺所としてガレージを借りていて、その名前が穴でした。その後、その製麺所ごと移転してその店舗を『輝の穴』(現・にぼってる)と名付けたんです。」

 

- そこから独立への流れは?

「輝の穴を5年ほどしましたが、スープとかなかなか上手くいかない時期が続いて挫折してしまったんです。やる気を無くしてしまって、それまでしていなかったタバコや酒を始めたりしていましたね。それで『あ〜、このままじゃアカンな〜』と悩んでいた時に、親戚のおばちゃんから『この場所(現店舗)でしていた飲み屋を閉店するから、ココでお店をしないか?』という話が来ました。」

 

- その時の気持ちは?

「この店を見に来て少し狭いかなと思いましたが、次に進むためにここから始めようと決めました。それで大将に独立することを伝えました。」


◆2019年3月10日オープン


- 屋号の由来は?

「友達に『何かいい名前は無いかな?』と聞いたら『楽麺や もりた」とかも勧められましたが、麺や輝出身なので、自分の名前(盛田)から『麺や もりた』と決めました。」

 

- 自店の商品は悩みましたか?

「輝の穴でのスランプの影響で当初はラーメンでなく中華屋さんで学んでいたチャンポンでしようと考えていました。でも開店直前、1ヶ月前とかに自分のやれることはと考えて、やっぱりラーメンだと思いました。それでラーメンで勝負すると決めました。」

 

- オープン時のメニューは?

「鶏豚骨と煮干しでした。しばらく経ってから修行時代に得意だったのが濃厚だったので、鶏豚骨から濃厚豚骨に変えました。濃厚を食べられないお客様も多かったので野菜スタミナとかも始めました。薄い豚骨にニンニクと辛味入れた天理スタミナ風です。お客様の声も聞きながらメニューを少しずつ増やしていっています。」



- 今後の予定は?

「近日中に溜まり醤油を使った新しい醤油ラーメンを加える予定です。現在は中華そばと濃厚豚骨を頑張っているんですが、濃厚豚骨はだいぶ濃くてあまり量が取れないんです。お客さんはあっさりが好きな方が多いんですが、マニアの方は『濃厚豚骨一本でしてくれ!』って言う人も多いんです(笑)。」

 

- 盛田店主の大事にしていることは?

「人間関係をギスギスしたものにしないことですね。輝で修行していた頃、多くの人が辞めていった時にその原因をいろいろ研究したんですよ。昔は何か言われたら腹を立てていたんですけど、今はボロカス言われても動じなくなっています。自分を磨いて、上手く対応ができるようになってきています。」


◆店舗情報

麺や もりた

大阪府堺市西区山田1-1159-5

オープン日:2019年3月10日

 (取材・文・写真 KRK 令和4年1月18日)