Vol.247:イ袋ワシづかみ

2022年2月21日オープン!


 大阪ラーメンシーンを長く牽引してきた名店「フスマにかけろ」(当サイト記事)が2022年1月30日に衝撃の閉店。そして新しい動きがすぐに始まった。實藤店主が「元々はセカンドブランドでやろうと思っていた」というラーメンを軸に新たなスタートを切る。これほどワクワクする新店の登場は久しぶりだ!「イ袋ワシづかみ」實藤店主にKRK直撃インタビュー!


◆店舗情報

イ袋ワシづかみ

大阪府大阪市天王寺区四天王寺2丁目2-7

instagram:https://www.instagram.com/ibukurowasidukami/

twitter:https://twitter.com/ksxxxcom1

オープン日:2022年2月21日


- 以前の取材で實藤店主がラーメン屋になるまでの話を聞かせて頂いているので、今回は新店についての話を聞かせて下さい。今回の新店をするきっかけは?

「諸事情があって夜営業ができないことになり『フスマにかけろ』を閉店することになりましたが、今回のお店はセカンドブランドとして3〜4年ほどどんな風にするかずっと考えていたお店なんです。」

 

- フスマにかけろ閉店時にはある程度決まっていたんですか?

「(新店を)どんな風にするかは頭にイメージがあったんですけど、閉店時(2022年1月30日)はまだ場所が全然決まっていなかったんです。閉店して数日経った頃に知り合いの店主さんから声をかけて頂いて、この場所でさせてもらうことに決めました。」

 

- イメージの段階から煮干し専門店ですると決めていたんですね。

「はい。東北を意識した、イメージ的には新潟の燕三条を自分的に今風にアレンジした商品を出したいなと考えていました。」



- 屋号「イ袋ワシづかみ」の由来は?

「『フスマにかけろ』の頃からずっと考えていて、もう1年以上前にはこの屋号でしたいと決めていました。今回が煮干し系なので煮干しのイワシに掛けて、胃袋のイ、鷲掴みのワシで繋げたら面白いと思いました。」

 

- 独自にアレンジした煮干しラーメンとは?

「当初は燕三条系のラーメン、煮干の効いた背脂チャッチャ系ラーメンを自分なりにアレンジしたラーメンを出そうと考えていたんですけど、ここの場所に決めて地元の方を見ていると幅広い年齢層の方がいらっしゃるのでメインの商品を脂ギットリにはしないでおこうと決めました。」

 

- どんな煮干ラーメンに?

「昔ながらの中華そばという言葉がありますが、実際の『昔ながら』は人それぞれ違っていて、清湯の人がいれば白湯の人もいる。豚の人、鶏の人もいる。それぞれに思い入れがある『昔ながら』があると思うんです。だからウチのラーメンも『誰かの昔ながらの中華そばにいつかなってくれたらいいな!』という思いを込めて作りました。食べやすくて、あっさりしながらも隠れたパンチのあるラーメンに仕上げました。今までは鶏を使うことが多かったんですけど、今回は昔っぽさも出したかったので新たに豚骨をベースにチャレンジすることにしました。」



- 営業情報をお願いします。

「オープン日は2月21日。営業時間は11時から16時で当面は無休でします。臨時休業などは店SNSで発信していきます。」

 

- オープン時のメニューは?

「オペレーションが落ち着くまでは醤油らぁ麺と数量限定で塩らぁ麺(5食)。追加トッピングも数種類用意する予定です。」

 

- 商品は煮干し系のみ?

「そうですね。限定ラーメンはどうするかまだ未定ですが、通常メニューでお出しするラーメンは全部煮干を工夫したラーメンになります。」

 

- 使用する煮干への拘りは?

「現状で12〜13種類を取り寄せて試したりして、オープン時に使うのは6種類くらいになる予定です。今、凄い勉強しながらしっかり出汁が出るような工夫とか、水に浸ける前に軽く炒って油を飛ばして酸化しないように工夫するとかを気をつけながら試作を続けています。」

 

- 中崎町からココへ場所が変わって苦労されたことは?

「まず初めにぶつかったのは水の違いでしたね。フスマにかけろの時は水道水だったのでそれに合わせてずっとしてきましたが、ここは浄水器みたいな装置が入っているんです。単純にその水を使うと沢山出汁が出て美味しくなるのかなと思っていたんですが、自分が取る出汁に関しては全然出汁が出なかったんですよ。水が原因とすぐに分からなくて、数日間ほど『あれ?おかしいな〜』と悩んでいたんです。それで『水が原因かも?』と思いついてからは、それに合わせて工夫をしたらしっかり出汁が出るようになりました。動物系スープの方も煮干しとのバランスが上手くいかなくてしばらく大変でしたね。」

 

- 合わせる麺も特徴的なのを使っていますね。

「僕の中では今回のラーメンは初めから完成されたラーメンではなくて、全部食べることで完成するラーメンだと思っています。一口目二口目食べた感じと、最後では味の感じ方が全然違うと思っています。最初は麺勝ちに感じるかもしれないけど、食べ進む内に口の中で旨味がどんどん合わさってきて、どんどん美味しくなるラーメンです。今回の麺は食感も旨味も今回のラーメンに合っていると思います。」

 

- トッピングのワンタンが皮だけなのは?

「ワンタンを乗せたいという思いがあって、『何の餡がいいかな?海老とか肉?』と悩んでいたんです。それで『ワンタンの何が自分は好きなんだろう?』と考えたら、あのチュルっとした感じが好きなんですよね。その後、たまたまYouTubeで昔ながらの老舗のお店さんがラーメンにワンタンの皮だけ乗せていたのを見たんです。それを見て『メッチャかっこいいやん!僕も皮だけでしよう。』と決めました。」



- 實藤店主が大事にしていることは?

「地元に根付けるお店がしたいと思っていて、そのために自分は何ができるのかと考えました。自分が得意なのは和洋中とか新しい古いとか、B級からS級グルメとかの垣根が無く"一つの器に表現できること"です。例えば今回のラーメンに加えている煮干しソース、他にもオリーブ油を使っていたりとか自分なりに色んなものをミックスした商品になっています。昔ながらと謳いながらも自分にしか作れないものになっていると思います。」


◆實藤店主の過去取材


 (取材・文・写真 KRK 令和4年2月16日)