Vol.258:王者-23


 日本屈指のラーメン処として知られる徳島。そのラーメン文化の歴史は70年を超えると言われ、徳島市内には星の数ほどのラーメン店が集結している。そんなラーメン激戦区で連日の大行列を作っているお店がある。屋号は「王者-23」。店主は徳島ラーメンの超人気店「支那そば 王王軒」での修行を経て、2013年に徳島市内で独立開業した方だ。イベントを通して店主と知り合ったので、取材をさせて頂いた。「王者-23」前川店主にKRK直撃インタビュー!


- ご出身は?

「徳島県の鳴門市です。」

 

- ラーメンするまでの経緯は?

「最初、違う仕事を目指していたんですが、20歳の頃に物にならないと分かり、次に何をしたいと考えた時にラーメンが浮かびました。」

 

- 元々、ラーメンが好きだったんですか?

「ラーメンを食べるのが昔から好きでした。ラーメンって日本料理とかと違って修行期間が短い印象でしたし、若くして開業したいという気持ちもあったのでラーメンをしようと決めました。」

 

- ラーメンをしようと決めてからは?

「地元の徳島ラーメンを食べて育っているんですが、ラーメンをしようと志した時に色んなラーメンを食べてみようと思いました。それで千葉の知り合いの家に1年間泊まらせてもらって、関東地域の色んなラーメン屋を食べ歩いていました。」

 

- ラーメンの勉強のためだけに、千葉に1年間もですか(驚)?

「はい、そうです。その当時、とみ田さん(中華蕎麦 とみ田)や一燈さんの行列の全盛期で、とみ田さんには週二回、ほん田さんにも通っていましたね。」

 

- 関東で食べている内に、自店でやりたいラーメンが浮かんできましたか?

「どのラーメンの道で生きようと考えた時に、自分の原点に戻って『徳島で徳島ラーメンをしたい!』と思いました。徳島のラーメン屋さんで修行させてもらい、徳島ラーメンからスタートしようと決心しました。」


- 徳島ラーメンの名店「支那そば 王王軒」を修行先に選んだのは?

「一番先に思い浮かんだのが王王軒さんでした。単純に自分が好きな味だったというのもあるんですけど、王王軒さんはお客様がとても多かったんです。お客様が多いということは、それだけ支持されているということですから、この味を学びたいと思いました。」

 

- 王王軒に入ってからは?

「他府県からも多くのお客様が来る大繁盛店ですから、修行もかなりハードでした。面接の時に『3年で独立していいよ!』と言われていたんですが、一年ほど経った頃に『もう独立してもいいよ』と言って頂きました。」


2013年7月1日オープン


- 自店の場所は悩みましたか?

「最初、地元の鳴門市で探していたんですが、自分が希望する条件の物件になかなか出会えなかったんです。それから探す範囲を広げて、現店舗に辿り着きました。ここは国道沿いで間口が広いし、キャパが大きくないので人手も抑えられる。近くに大学もあるのでこの物件に決めました。」

 

- 屋号「王者-23」の由来は?

「王者は『王王軒で修行した者』から、一番最初と一番最後の文字を合わせて『王者』としました。ラーメン界の王者になりたいという意気込みも含まれています。23は店を始めた時の自分の年齢で、23という数字の並びもいいと思いました。」

 

- 徳島は老舗がとても強いと思いますが、自分で開業する時にどう挑戦していこうと思いましたか?

「修行店の王王軒があれだけ人気あって支持されているので、最初は学んだことだけやっていればいいと思っていました。でも、なかなか思うような結果がついてきませんでした。結局、同じことをしていたら、ウチに来なくても王王軒に行けばいいんですよね。」

 

- それからどう動きましたか?

「どうやって他店と差別化してウチのお客様を作っていくかと考えた時に、味的には豚骨臭を抜いて旨味だけ残すというのと、店的にはアットホームな雰囲気のお店にしたいと思いました。ウチは家族経営なので、いつ来ても同じスタッフがいるので安心感を持ってもらえればと思いました。」


- SNSを見ると、色んな限定もされていますね。

「開業前に関東で食べ歩いた時に自分の好きな味が色々あったので、やってみたいと思っていたのを限定で提供しています。」

 

- レギュラーから数々の限定まで、1人で全てしているのが凄いですね!

「僕くらいのレベル(スキル)の人間はラーメン業界には山ほどいらっしゃるんです。じゃあ、他の人に無い自分の長所は何だと考えたら、段取りだと気付きました。レギュラー、限定、トッピングも1人でするとなると仕事量が多いんですけど、全部を段取り良くしています。僕は藤井聡太くんの物事の考え方とか詰め方がすごく好きなんです。例えば僕と同じスキルの方と同じ仕込み量をしても、僕だったら段取りよく(他の方より)1.8倍ほどのスピードでできるんです。その結果、売り切れを無くして、いつ来ても自分の好みのものを食べられるという安心感をお客様に持ってもらえると思っています。」

 

- 自分の長所に気づいたのは?

「最初から物事の段取りが良かったわけではなくて、ここ最近です。以前はお客様に並んでもらったら、国道沿いなので宣伝効果になると思っていました。でもそれは間違っていて、逆に『あの店、並ぶからやめとこう』というイメージが付いてしまってお客さんが減ってしまうんです。段取りよくお客様の回転を早くできるようになった今なら、『王者は並ぶけど、回転が早いから食べていこう!』と言ってもらえていると思います。自分の中で全部の面で考えてきて、一歩ずつ前進して今に至っています。僕は修行の期間が短かったので、味だけしか学んでいなかったんです。味だけでなく、人間力を高めていくことが大事だと気付きました。」



- 王者-23の徳島ラーメンとは?

「食べた一口目からインパクトが伝わり、一口目から王者の味になっています。素材の旨味を極限まで引き出し切って作っているので、他店とは旨味の詰まり方が全然違う徳島ラーメンに仕上がっています。」

 

- 前川店主が一番大事にしていることは?

「お客様に『王者に来て良かったな!』と思って帰ってもらえることです。」


◆店舗情報

王者-23

徳島県徳島市国府町和田時表17-4

twitter:https://twitter.com/Ooja__23

オープン日:2013年7月1日

 (取材・文・写真 KRK 令和4年5月22日)