Vol.273:えびそば 緋彩


 今回取材するのは名古屋市の人気店えびそば 緋彩」。かつてないほどの勢いで盛り上がってきている今の名古屋ラーメンシーンを象徴する人気店の1つだ。私が初めて行ったのが2019年11月。まだ名古屋には無かった「海老系」に特化した商品構成だけでなく、海老を屋号にまで加えたその強い気持ちにとても興味を持ったものだ。あれから3年が経ち、久しぶりにお店を訪れた。「えびそば 緋彩」佐野代表にKRK直撃インタビュー!


- ご出身は?

「山梨県です。」

 

- 当時からラーメンは好きだったんですか?

「山梨には高校卒業までいたんですけど、まだ地元の中華そばを食べる程度でしたね。」

 

- 高校を卒業してから山梨を離れることに?

「東京の大学へ行きました。その頃に環七辺りのラーメン屋さんを食べたりはしていましたね。でも実際にラーメンを好きで食べ始めたのは30代後半になってからでしたね。その頃は個人店とか知らなかったので、そこら辺にある大手さんのラーメンを食べているだけでした。」

 

- 30代後半になってからラーメンにハマったのは?

「名古屋に戻ってから色んな仕事を転々としていて、その頃にラーメンの雑誌を見て色んな店へ行くようになりました。その中で海老のラーメンを出している店があって、『あっ!海老のラーメンって美味しいんだな〜!』と驚きました。その時に海老のラーメンを自分の家で作れるようになりたいと思いました。自家製麺というのもその時に初めて知ったんです。それがラーメン業界に入る3ヶ月前の話ですね。」

 

- 海老のラーメンを自分の家で作りたくなって?

「当時、職を転々としていたので、妻が『そんなに気になるなら実際にラーメン屋入ってみたら?』と言ってくれたんです。」

 

- 最初から自分で店をすると決めていたんですね。

「ラーメンを自分の家で作れるようになりたいというのが元なんです。ついでに働きながら学べるならいいかなという気持ちでした。」


- 修行先に選んだのは?

「実際にその店では働けなくて何処のラーメン屋に入ろうか悩んでいた時に妻から『本気でやるなら応援するよ!ここどう?』と勧められて、自家製麺まで学べる『愛ごや』を選びました。面接に行くとその日の内に採用になり修行させて頂く事になりました。」

 

- 愛ごやで働き始めて、どうでしたか?

「そんなところまで手作りでするんだという驚きと共にワクワクでしたね。」

 

- 独立のきっかけは?

「愛ごやが他の場所へ移転するタイミングで、この場所を引き継ぐ形ですることに決めました。2019年11月にオープンしました。」


2019年11月13日オープン


- 屋号「えびそば 緋彩」の由来は?

「海老の色=緋色(赤)。女性1人でも気軽に入りやすいラーメン店作りをしたくて、内装や盛り付けなどに彩りを重視しようと決めました。そこで緋色の『色』を『彩』に変えて緋彩にしました。」

 

- 屋号にえびそばを付けたら、それ以外をやりにくくなるとか迷いませんでしたか?

「創作意欲が湧いてくると色んな事やりたくなるのでたまに痛感します(笑)」

 

- 海老をメインですると迷わずに決めていたんですか?

「海老は元々は自分の家で作れるようになりたかったんですけど、僕は味噌ラーメンも好きなので迷っていましたが、折角やるならずっと作りたかった海老をメインにと決めました。」

 

- 最初から海老系の清湯と白湯、両方をしようと考えていたんですか?

「そうですね。海老の清湯ってあまり無かったので清湯の方に力を入れていたんですが、選択肢としてやっぱり白湯もしないといけないと思っていました。女性やカップルをターゲットにしてスタートしたので、やっぱり白湯の注文が多いですね。」

 

- 自家製麺も最初から?

「自分でイチから粉をミックスしたりして手探りで始めましたね。その当時にガチ麺道場の上野店主の麺に感動して、『上野さんみたいな麺を作りたい!』とオープンしてから取り組んでいました。妥協無き信念と拘りが生み出す異次元な麺への感動と憧れが、今も僕の製麺の中心であり変わらず目指す姿です。」

 

- 海老スープに合わせる麺の開発は大変でしたか?

「みんなからそれを言われるんですけど、僕が製麺担当だった事もあり『この麺を出したいからこれに合うスープを創って!』という麺が先にあってスープを合わせる感じだったんです。」



- オープンしてから海老系へのお客様への反応は?

「屋号にえびそばと書いてあるので、来店されるお客様も海老好きな方ばかりなので、美味しいと言って頂けると嬉しいですね!」

 

- 店舗展開は?

「今、従業員が2人いて近日もう1人入ってきます。今後は緋彩の直営店という形で、従業員のカラーに合わせた店舗を出していこうと思い準備してます。まずは地元の山梨で出す予定です。」

 

- 佐野代表が大事にしていることは?

「自分自身の製麺もそうですし、妻に対してもそうですが、仕事を妥協せずきちんと丁寧にする事を教えています。お客様に対してはおもてなしの心で丁寧な接客を心掛けて下さいと教えています。お客様と目も合わさない挨拶をするお店には絶対にしたくないと思っています。」

 

- 最後に一言お願いします。

「ウチは夫婦経営で僕がオーナーで妻が店主。僕が元々、持病で目が悪かったんですが、オープンしてから必死でやっている内に急激に悪化してしまって、一年目で片目が失明してしまったんです。もう一つの目も視力が0.1くらいしかありません。繊細な作業も異物混入とかも気づけないようになったので現場を離れ裏方に回ることにしました。そして今は僕の横でオープン以来ずっと商品を作ってくれていた妻がシェフとして全ての仕込み、スタッフの管理、限定麺の制作やレギュラー商品のブラッシュアップ等をして立派に店を切り盛りしてくれています。

『大将が店頭に出てこなくなったから』という理由で来なくなったお客様も沢山いますが、僕は店頭には出れませんが、理想の麺料理を追いかけ日々変わらず製麺の研究や創作を重ねております。今の緋彩のカタチも、一杯のラーメンを通して皆様には知ってもらえたらなと思っています。今後も『えびそば 緋彩』を宜しくお願い致します。」



◆店舗情報

えびそば 緋彩

愛知県名古屋市瑞穂区明前町13-19 堀田グリーンハイツ 1F

公式HP:https://foodplace.jp/hiiro/

twitter:https://twitter.com/ebisoba_hiiro

instagram:https://www.instagram.com/ebisobahiiro

オープン日:2019年11月13日

 (取材・文・写真 KRK 令和4年12月14日)