Vol.290:麺々 結び


 奈良の新たなラーメン激戦区として盛り上がっている「奈良駅エリア」に、2023年4月24日、新たな注目店がオープンする。屋号は「麺々 結び」。店主は奈良の看板店「ラーメン家 みつ葉」で長く修行をしていた方だ。人気店出身のお店だから注目度は増すばかりだが、一体、どんなラーメンで勝負するのか楽しみだ。オープンの1週間前に取材をさせて頂いた。「麺々 結び」内山店主にKRK直撃インタビュー!


- ご出身は?

「鹿児島県です。」

 

- 関西へ来たのは?

「北九州の大学へ行き、それから就職で大阪の堺市へ来ました。転勤で和歌山にも行きました。」

 

- 元々、ラーメンは好きだったんですか?

「鹿児島にいた頃はラーメンを全然食べていなくて、時々、カップ麺を食べていたくらいでした。ラーメンを好きになったのは就職で関西に来てからです。会社の同期がラーメン好きでいろんな店へ連れて行ってくれて、僕もどんどんラーメンにハマっていきました。」

 

- 食べ歩きをしていた頃、自分でラーメン屋をしたいという気持ちは?

「最初は関西のラーメンを持って帰って、鹿児島の人達にも関西の美味しいラーメンを知って欲しいという気持ちでした。でもどうしたらいいんだろうと考えていたんです。その時に鹿児島の友達に『自分でしたらいいやん!』と言われたんです。それからラーメン屋になりたいと意識するようになりましたね。」

 

- ラーメン屋に興味を持ってからは?

「まだ特に決めていなくて、良い店があれば働いてみたいなとか思っていた程度でした。当時26歳だったんですが、漠然とですが30歳くらいからラーメン屋をできたらいいなとか考えていました。」


- 修行店「ラーメン家 みつ葉」との出会いは?

「2016年頃、最初にみつ葉で食べた時はあんまり好きじゃなかったんです。でも一年後に食べに行ったら『みつ葉、メッチャ美味いやん!』と驚きました。それから和歌山から奈良のみつ葉へ通うようになりました。」

 

- みつ葉に入るまでの経緯は?

「twitterで『ラーメン屋を将来やりたいな』とかツイートしていたら、みつ葉の杉浦さん(みつ葉店主)に見つかったんです。たぶん、みつ葉で検索して僕のツイートが出てきてたんでしょうね。それで次にみつ葉へ食べに行って食券を買っていたら、杉浦さんが『ラーメン屋をやりたいん?』と言ってきたんです。」

 

- えっ?顔バレしていたんですか(笑)?

「僕が食券とかを写真撮ってツイートしていたので、時間帯とかでバレていたみたいなんです(笑)。」

 

- 急展開ですね。

「『もし本気なら、2号店(ラーメン家みつ葉 the second)をするから1ヶ月くらいでどうするか決めてくれる?』と言われました。『こんなに展開早いの?』と驚きましたが、立ち上げとかも経験できるし良いタイミングだと思いました。僕は1人だったので、みつ葉に入ると決まったらすぐに奈良へ引っ越しもできましたから。それでみつ葉に入ることに決めました。」



- 初めてラーメン屋で働くのはどうでしたか?

「鹿児島の実家がお弁当屋さんで、母親が早朝から夜遅くまで仕事をしているのを見ていたので、そんなにギャップは無かったんです。ラーメン屋さんの仕事も大変なのは分かっていましたから。」

 

- みつ葉に入ってからは?

「本店から始めて、みつ葉セカンドの店長だった綿野さん(現・ラーメン家こゝろ店主)が独立する時に、次の店長として僕がセカンドを任してもらうことになりました。」


2023年4月24日オープン


- 自店は奈良県ですると決めていたんですか?

「奈良ですると決めていました。最初は奈良市で探していてあまりにも物件が無かったので、奈良県内のいろんな所、吉野とかも探したりしたんです。どうしようかなとなっていた時に、この場所を紹介してもらって決めました。元々はバーだったので、全て壊して一から作り直しました。」

 

- 屋号「麺々 結び」の由来は?

「全ては結びつきで成り立っているからという理由で、元々、"結び"でしようと決めていたんです。お店を一緒にするパートナーが『"び"を付ける方が可愛い』と希望したので"結び"にしました。頭に何をつけるかは迷いましたね。みつ葉出身者は『ラーメン家』を付けているんですけど、結びとはバランス悪いなと思いました。それで麺処とか麺屋とか考えていた時に、たまたま僕が麺々と呟いた時に『それいい!』となって『麺々 結び』で決まりました。」



- 自店の商品はいつ頃に決まりましたか?

「奈良でするなら白湯は絶対と決めていました。セカンドにいた時に杉浦さんが自由にさせてくれていたので、限定で何度も試作していました。ガラや粉、煮干し、色々な食材を仕入れて試作することができました。みつ葉を卒業までには、しっかりメニュー構成を考えて、スープもこの材料でこういう炊き方をすると決めていました。」

 

- 商品の紹介をお願いします。

「当面の間は白湯だけで、後から清湯もする予定です。白湯は醤油と塩の二本。醤油の名前は『鶏豚々(とりとんとん)』。豚骨強めのコッテリ系で麺は太めの手揉み麺。塩の名前は『泡魚介塩白湯』。全粒粉を加えた中細ストレート麺で、スープは煮干し出汁を加えて泡立てています。」

 

- 泡系は塩だけなんですね。

「どうしてもメインの醤油(鶏豚々)は泡立てたくなかったんです。『みつ葉やん』と言われてしまうので、泡立てなくていいスープの炊き方を何度も試作してやっと納得いくものができました。」

 

- ラーメンの他には?

「みつ葉系では初めてまぜそばもします。まぜそばはラーメンを食べたいという人よりは、食事として千円以内でお腹いっぱい食べたいという人向けのメニューです。がっつり麺多めでトッピングもどっさり乗せてというモノになります。」

 

- サイドメニューは?

「白ごはんとチャーシュー丼を予定しています。お米も寝屋川の京阪米穀さんに奈良の良いお米を卸してもらっています。実は京阪米穀さんが、僕にラーメンを教えてくれた前の会社の同期の実家なんですよ。凄く拘っているお米屋さんなんです。」



- 鹿児島へ関西のラーメンを持って帰るという気持ちはまだあるんですか?

「はい。こっちでお店を経験して、いつか鹿児島に帰るというのが、僕の今の考えていることです。」

 

- みつ葉 杉浦店主から教わったことは?

「ずっと杉浦さんが言っているのは『謙虚でいることが一番大事。お客さんに来てくれてありがとうという感謝の気持ちを忘れずにやっていったら成功するよ』ということ。みつ葉では本当に多くの経験をさせて頂きました。」

 

- 内山店主の一番大事にしていることは?

「もちろん回転も大事なんですが、お子さんが来てもゆっくり楽しんでもらえる雰囲気を作っていきたいです。お客さんが居心地が良くて、また来たいと思ってもらえるラーメン屋にしたいと思っています。」


◆店舗情報

麺々 結び

奈良県奈良市西木辻町86-1

twitter:https://twitter.com/menmen_musubi

オープン日:2023年4月24日

 (取材・文・写真 KRK 令和5年4月17日)