Vol.291:めん 呼白


 今回取材するのは広島市の人気店「めん 呼白(よはく)」。2021年11月30日にオープンして以来、瞬く間に行列店へと上り詰めた、現在の中国地方で最も話題になっているお店だ。大阪と東京で修行してきた店主が造る本格派の商品で話題になっているが、お店の場所にも驚いた。「ここへ入っていくの?」と躊躇してしまうような細い路地裏にお店があり、店内に入ると料亭のような雰囲気にまた驚かされる。どんな方なのか、取材でお話しするのがとても楽しみだ。「めん 呼白」山本店主にKRK直撃インタビュー!


- ご出身は?

「生まれは広島県福山市です。小さい頃は父親の仕事の関係で山口県にいましたが、小学校からはずっと広島にいました。」

 

- 元々、ラーメンは好きだったんですか?

「当時から食べることはもちろん好きでしたが、特にラーメンだけというわけではなかったですね。」

 

- ラーメンに興味を持ったのは?

「広島で学校を卒業して、就職で大阪へ行きました。自分で給料をもらうようになってから色んなものを食べるようになっていき、そんな中でラーメンに嵌りました。大阪には色んなジャンルのラーメン屋があって面白いと思いました。大阪には7年ほどいました。」

 

- ラーメン屋をしたいと思ったきっかけは?

「自分で何かしたいという気持ちは就職する時からありました。当時は全然違うジャンルの仕事をしていたんですが、自分で料理をするのも好きだったので、大阪で食べ歩きをしている内に飲食をやりたいと思い始めました。気付いたらラーメンに熱中していましたね。」


- ラーメン屋になるために?

「ラーメン屋で働いてみたいと思いました。(当時住んでいた)自分の家から近くて、自家製麺で清湯も白湯もあるお店。それで麺一盃さん(当サイト記事)にお願いしました。あまり大きくないお店で、店主さんとの距離が近いのでしっかり学べそうだと思いました。」

 

- 当時から独立志望はあったんですか?

「元々、ラーメン屋をしようと決意した時に、広島でお店を出そうとビジョンを持って始めました。若いうちは色々勉強した方がいいと考えていたので、大阪の麺一盃さんで働いて、その後にもう一軒、どこかで働きたいと思っていました。日吉さん(麺一盃 店主)も開業前には北海道や東京のラーメン店で働いていた方なので、東京の店とか連れて行ってくださっていたんです。それまでは近畿圏でしかラーメンを食べたことがなかったんですけど、それから全国の色んなお店で食べるようになりました。東京でも修行をしようと思ったのは日吉さんの影響が大きいです。」

 

- 東京では?

「東京では尖ったジャンルのお店で働きたかったので、2つのお店で約一年ずつ学ばせていただきました。」

 

- 独立の時期は予め決めていたんですか?

「30歳にお店を出そうと決めていたので、東京で約2年間修行して、約1年間を準備期間にしてと決めていました。大阪へ出てからは広島に帰ってくることもほぼ無かったので、当時の広島のラーメン事情は全く知らなかったです。」


2021年11月30日オープン


- 屋号「めん呼白」の由来は?

「"よはく"は余白という言葉からで、お客様が大切なひと時を過ごしていただき、このラーメンが心の余白に少しでも残ればと想いを込めて"よはく"と名付けました。そしてお客様の大切に想っている人、ご両親、配偶者、お子様、恋人、ご友人、同僚の方々などを"呼"びたくなるようなお店にしたいという想いと、初心を忘れず真っ"白"な気持ちで日々成長、挑戦を心がけ、お客様に楽しんでいただきたいという想いを込めて『呼白』とさせて頂きました。」

 

- この場所に決めた理由は? なかなか見つけるのがハードな場所ですよね(笑)。

「広島市内で半年ほど物件を探していたんですが、ここが空いて見に来た時には『ここしか無い!』と思いました。分かりにくい場所なので嫁とか親とかみんなに反対されました(笑)。飲食店があるエリアではないですからね。」

 

- オープン以来、瞬く間に行列店になりましたね。

「オープン前の準備段階からInstagramでは色々あげていたんですが、当時はフォロワーさんが多かったわけじゃないんです。だから、なぜか初日から多くのお客様に来ていただき本当に驚きました。有り難いですね。とても嬉しかったです。」



- 自店の商品は修行時代に決めていましたか?

「はい。広島に無い系統とかじゃなくて、自分のやりたいラーメンでしようと考えていました。メインは鶏清湯で、サブで瀬戸内の"いりこ"(一般的には西日本ではいりこ、東日本では煮干しと呼ばれている)を使ったラーメンと決めていました。」

 

- 自店の商品の紹介をお願いします。

「醤油(鶏清湯)の方はできるだけ中四国の食材を使いたいと思っていましたので、山口県の"長州黒かしわ鶏"という地鶏をメインで使っています。醤油は兵庫、広島、小豆島、和歌山などの醤油を独自ブレンドしています。

 "いりこ"は瀬戸内のいりこのみ、広島メインで山口とか伊吹とかのいりこを使って、煮干しと水だけでスープを作っています。」

 

- 現在の麺についても教えてもらえますか?

「はるゆたか主体に5種類ブレンドしております。醤油、いりこ共に共通の麺です。口当たりしなやかで、長めでソフトな食感の麺です。カタ麺が好みな方が多い地域なので、麺が駄目とか伸びているとかなどのご意見をいただきました。最近は地域性なども考慮しつつ、自分の考えも入れつつ、といった感じで製麺をしています。」

 

- 山本店主が一番大事にしていることは?

「探究心を持ち続けることです。忙しい日々の中でも、しっかり時間を作って関東や関西、他地域へラーメンを食べに行き、ラーメンに興味を持ち続けていきたいです。ラーメンに対する情熱をずっと燃やし続けていきたいです。」


◆店舗情報

めん 呼白

広島県広島市中区西十日市町2-15

instagram:https://www.instagram.com/yohak_noodle/

オープン日:2021年11月30日

 (取材・文・写真 KRK 令和5年5月13日)