Vol.301:支那そば 鋳


 今回取材をするのは「支那そば 鋳(ちう)」。人気店「RAMEN RS改」創業者の川南氏が2021年に新たに立ち上げたお店で、ラーメン王国札幌で今、一番HOTなお店だ。屋号も個性的だが、その商品のビジュアルに心を奪われる人も多いだろう。札幌に行く機会があったので、取材する時間を作っていただいた。「支那そば 鋳」川南店主にKRK直撃インタビュー!


- ご出身は?

「空知の長沼町という町です。」

 

- 飲食をするまでの経緯は?

「実家が八百屋でした。高校卒業時に大学へ行きたいとも思わなかったので、昔から食べることが好きだったので料理の道へ進もうと思い、18歳の時にすすきのの和食の小料理屋で働き始めました。昼は専門学校に通い、夜はその小料理屋で働いていました。」

 

- 和食の店を出したかったんですか?

「僕は料理の世界で何でもいいから1番を獲ろうと思って頑張っていたんですが、父親が『実家の近くにコンビニができたので、実家の店を手伝いに帰ってきて欲しい』と頼んできました。それで渋々戻って18年ほどしていました。」

 

- 18年ですか!料理の方は?

「40歳になった頃に『もうそろそろ自分で何かしたい』と考え始めましたが、ブランクが空いたのでもう和食に戻るのは無理だろうと思いました。ラーメンを食べるのはずっと好きだったので、ラーメン屋をやろうと決めました。」


- ラーメン屋をしようと決めてからは?

「どんなラーメンがいいかなと考えながら食べ歩いていたら、これしかないなというラーメンに出会いました。水鶏系(鶏と水のみで炊いたスープ)です。」

 

- 全て自己流で始めたんですか?

「全部自己流です。その頃に研究のためラーメン屋を幅広く食べ歩いていて、トータル1万杯は食べていると思います。料理の知識はありましたからね。」

 

- 場所は札幌と決めていたんですか?

「やるなら札幌しかないなと思っていました。最初、大通りの18丁目で始めたんです。カフェっぽいお店をそのまま居抜きで使ったので、屋号をN's cafe RS(ヌードルズカフェRS)にして3年ほどしました。ソフトクリームとかも出していましたね。最初出したそのお店では儲けはどうでもよくて、一杯600円で出していたんです。みんなに『原価計算できてないよね』と言われていました(笑)。」

 

- 3年経って移転した理由は?

「当時、北広島に住んでいたんですよ。今、エスコンフィールドがある辺りです。通うのが大変だったので、近くでテナントを探して移転しようと思っていましたが全然見つからなかったんです。それでもう土地を買ってイチから建てようと決めました。ラーメン専門店にして、屋号をRAMEN RS 改にしました。」

 

- RSの意味は?

「僕の名前が川南なのでRiver South。その頭文字を取ってRSです。大通りから清田区に移転したので、ちょっと改めてという意味で改を付けました。」

 

- RSを離れて、支那そば鋳を始めた経緯は?

「移転後、メディアで紹介してもらったりして人気が出てきて、そこで駐車場問題が増えてきました。もう苦情が多くて大変だったんです。5年ほどしていたんですが電話対応とかで妻も悩んでしまって、それならどこか駐車場が無い場所でしようかと考えました。駐車場が無ければ駐車場待ちが無くなりますからね。僕はRS改をやめようと思っていたんですが、RS改をやりたいという人がいたので譲りました。」


2021年12月12日オープン


- この場所は?

「駅近で探していて、この物件と出会いました。」

 

- 屋号「支那そば 鋳(ちう)」の由来は?

「型に流し込んで作る鋳物(いもの)に興味を持っていて、金に寿で鋳(ちゅう)というのも縁起いい。『この一文字がいいな〜』と思いました。最初は中華そば鋳で考えていたんですが、ちゅうちゅうだとなんかおかしいなと思いました。それで調べたらチウとも読むようなのでチウにしようと決めました。そして知り合いから『川南さんのラーメンなら支那そばの方がしっくりくるかもね』とアドバイスを頂きました。やっぱりクオリティを求めている以上、チャラい名前は付けられないですからね。それで支那そば 鋳(ちう)に決めました。」


地鶏光麺 醤油


- 商品名を「地鶏光麺(こうめん)」と名付けたのは?

「知り合いの中華料理屋のマスターが『川南さんのラーメンは光り輝いているから光麺(こうめん)と名付けたらいいんじゃない?』と言ってくれたんです。その言葉を頂きました。」

 

- 盛り付けがとても綺麗なのが印象的ですね。

「色々食べている内に、中にはこういう盛り付けのお店がありました。僕は和食をしていたので、和食の世界も見た目を大切にしている。ルックスは欠かせないですからね。」

 

- 地鶏はどちらのを使っているんですか?

「地鶏は天草大王、山水地鶏、比内地鶏を主に使っていて、他には宮崎赤鶏。これが凄くいい出汁が出るんです。そして脂がとても良くてオレンジ色なんです。」

 

- 醤油への拘りは強そうですね。

「関ヶ原たまり(関ヶ原醸造)、秋田の安藤醸造などを使っています。醤油はかなり拘っていて、いろんな醤油を取り寄せて合わせてみてます。関ヶ原たまりが1番美味しいんですが、高いので100%では使えませんね(笑)。」

 

- 川南店主の追い求めている麺とは?

「滑らかでスルッと喉越しのいい麺。決して柔らかいんじゃなくてモチモチとしていて、切れそうで切れない麺。硬いのとは違う。引っ張っても切れずに伸び続ける麺。まだまだですけど、もっとハイクオリティのものを作りたいと毎日取り組んでいます。」

 

- 最後に、川南店主が一番大事にしていることを教えてください。

「お客様です。いくら良いものを作っても食べに来てくれる人がいないと成り立たないですから、お客様に喜んでもらいたいです。そのために妥協せずに美味しいものを提供しています。」


◆店舗情報

支那そば 鋳

北海道札幌市中央区北1条西27-2-13

twitter:https://twitter.com/0919Rs

オープン日:2021年12月12日オープン

 (取材・文・写真 KRK 令和5年4月2日)