
今回取材するのは2025年6月15日に名古屋市にオープンした新店「煮干潤」。店主は東京の人気店「中華ソバ 伊吹」出身で、以前に別屋号で間借り営業をしていた時から既にかなりの人気だったようだ。そんな話題の店だから今回の本オープンは関西など遠方でも話題になるほど注目度が高かった。店主とは一年前くらいにLINEで繋がっていたので、今回名古屋へ行くタイミングで取材をさせていただいた。「煮干閏」伊藤店主にKRK直撃インタビュー!
- ご出身は?
「名古屋の西区です。」
- 元々、ラーメンが好きだったんですか?
「大学で柔道をしていて、筑波などへ合宿で行った時や東京で試合があった時、その地の美味しいラーメンを食べるのが一つのモチベーションになっていました。僕は階級的に減量が必要なかったんです。当時、みんなが麺屋一燈さんを好きで、一燈さんで食べるためにインカレへ向けて頑張るとか言っていましたね(笑)。有名店を片っ端から食べ歩いていました。」
- ラーメン屋に興味を持ったのは?
「大学で柔道から離れた時、将来何をしようかなと考えて『飲食店をやりたいな。ラーメン屋をやりたいな』と思いました。それで東京へ行く前まではアルバイト掛け持ちで昼は二郎系の店、夜はつけ麺屋、深夜はカラオケ屋という生活でした。」
- 食べ歩きも継続していたんですね。
「はい。1週間休みを作って関東へラーメンを食べに行ったりしていました。そして段々と自分がやりたいラーメンが見えてきました。」
- やりたいラーメンとは?
「自分の修行先になる伊吹さん(中華ソバ 伊吹)とかで食べた時に煮干しをやりたいと思いました。名古屋ではまだ煮干し専門でやっていたお店は少なかった頃ですね。」
- 煮干しをすると決めてから?
「その時に伊吹さんからお弟子さんが独立するタイミングで、伊吹さんのSNSで弟子募集が出ました。それで連絡して面接してもらい、その日に決まりました。」
- 伊吹での修行はどうでしたか?
「同じものが毎日できるわけではないので毎日の積み重ねでした。毎日作る中でそれを改良しながらということに向き合う3年間で、得るものがとても多かったです。僕は他店でアルバイト経験はありますが、修行をしたお店は伊吹さんのみです。」
- 独立志望は?
「この煮干しで名古屋でお店をすると決めていました。」
- 独立のきっかけは?
「何年でというルールはなく、たぶん弟子の中で僕が最長だと思います。3年ほど修行させて頂きました。僕は自家製麺やつけ麺も自店ではするつもりでしたが、伊吹さんでは煮干しの技術に関してだけきっちり3年間したいと思い、その旨も伝えていました。」
- 自家製麺やつけ麺をしたいと思ったのは?
「僕がつけ麺を好きなんです。つけ麺の爆発力を知っているので、どうせならつけ麺でこの煮干しスープの技術を活かしたいと思いました。それで名古屋に戻ってから製麺機が置いてあるお店で間借りで営業させてもらいながら、製麺も学んでいました。」
- 間借り営業(スープランド糸)はどのくらい?
「営業したのは合計で4ヶ月ほどだったと思います。とにかく時間があったので限定っぽいのも試しつつ、色々と経験できました。」
- 場所探しは大変だったようですね。
「郊外も探していたんですけどなかなか条件に合った物件が無く、あっという間に一年が経ってしまいました。」
2025年6月15日オープン

- 屋号「煮干閏(にぼしうる)」の由来は?
「中華そばというよりは、日本のラーメンという感じがいいな〜と思いました。それで食材の中で一番お金をかけているのは煮干しなので煮干を付けました。煮干しをずっと使っていくという覚悟も含んでいます。」
- 閏(うる)は?
「元々は昨年開業予定だったんですが、昨年が閏年だったんです。それと"うるめいわし"の造語も含んでいますし、師匠の三村さんの漢数字"三"を中に隠しているんです。門構えが王様の王で、一本隠して4画。僕が4番弟子なので丁度いいかなと思いました。」
- メニュー名を飴(アメ)と鈍(ニビ)にしたのは?
「濃厚なラーメンの定義について考えた時、煮干しで濃厚なのは淡麗だと僕は思っています。淡麗は水と煮干しだけなので、煮干しを強く出すために使っている量は淡麗の方が多いんです。それで一から自分で名前を作って浸透させようと思いました。飴と鈍は色からです。純粋に淡麗は透明で透き通っている飴色のスープ。鈍はグレイ(灰色)のスープ。名前も2文字で覚えやすいと思いました。」
- 後日提供予定のつけめんについて少し教えてもらえますか?
「淡麗系はまだ入れてなくて、鈍を圧縮したバージョンが一つ。もう一つは煮干しベースに節や貝類、海老など魚介を突っ込んだ豚魚。その2つを予定しています。」
- 最後に伊藤さんが一番大事にしていることを教えてください。
「進化することをやめないということを凄く大事にしています。自分の感覚を信じて良いものに上げていかないといけないと思っています。自分の師匠がそういう人でした。限定を一つ作ることに注力するよりかは、今あるものの底上げをしていく。その楽しさを追求しないと進化していかないかなと思っています。」
◆店舗情報
煮干閏
愛知県名古屋市名東区上社5-308 シャトー東山 1F
X https://twitter.com/817amayirohc
https://www.instagram.com/817amayirohc/
オープン日:2025年6月15日
(取材・文・写真 KRK 2025年7月23日)