Vol.114:つけ麺 冨


 建築技術の粋を極めた傑作として、多くの観光客が訪れる人気の世界遺産"姫路城"。その近くに行列ができる人気ラーメン店がある。屋号は"つけ麺 冨"。名店で修業した店主が、2015年に独立開業したお店だ。看板メニューは"つけ麺"で、台湾ラーメンなども人気のようだ。

 店主とは取材の日がほぼ初対面。"つけ麺 冨"冨井店主にKRK直撃インタビュー!


- 出身は?

「姫路市です。ここが地元です。」

 

- 飲食をするきっかけは?

「元々、飲食がしたいと思って、若い頃に大阪へ出ました。初めは、ヒルトン大阪で和食を学び、その次に大阪の有名な焼き鳥屋でも修行しました。

 数年間大阪にいたんですが、家の事情で姫路に帰ってくることになりました。姫路に帰ってきて飲食からちょっと離れることになり、アジアなどを旅していました。」 


- ラーメンをするきっかけは?

「地元の先輩が浜松の某ラーメン店で独立した時に、『手伝ってくれないか?』と誘ってくれたんです。大阪に出る前も、姫路の有名なラーメン店でアルバイトとして働いていた経験がありました。」

 

- 浜松ですか?姫路からは遠いですね~(驚)。

「静岡県浜松市です。そこで西塚さん(現・らーめん豚鬼 店主)とも出会いました。そのお店では約1年ほどお世話になりました。」

 

- ラーメンを食べるのも好きだったんですか?

「好きでした。テレビで『ガチンコラーメン道』を観て佐野さん(故佐野実氏)に感化され、小学校の卒業アルバムにも”将来の夢:ラーメン屋"と書いていました。

 もちろん食べるのも好きで、東京、神奈川に行って佐野さんのお店に行ったり、大勝軒とか有名な店でも食べ歩いていました。」

 

- 自分のお店をしたいと決めたのは?

「浜松の時ですね。当時3歳だった息子にも安心して食べさせることができるお店にしたいと思いました。小さい子供さんから、ご年配の方、妊婦の方も安心して食べて頂けるお店にしたいと思ったんです。僕自身が食の安全を意識していて、無農薬の野菜を作ったりもしているんです。

 そう考えていた頃に某店のつけ麺を食べて、凄く美味しくて『これや!』と思ったんです。これを地元で無化調でできたら、自分も納得できるんじゃないかと思いました。」


つけ麺 冨(2015年7月7日オープン)


- 場所は姫路と決めていたんですか?

「姫路か神戸、バンコクでもやりたいなって気持ちもありました。旅が好きでタイを拠点に東南アジアを周っていたので。」

 

- この場所に決めたのは?

「元々、このエリアは姫路では昔からラーメン激戦区だったんです。ずんどう屋さんもあるし、ホープ軒さんの1号店もあったんですよ。今は一風堂さんもあるし、髭さんもある。『姫路でするならここで勝負したいな!』と思っていました。」

 

- 屋号の由来は?

「苗字から冨をとりました。みんなからも"冨"と呼ばれています。」

 

- 屋号につけ麺を付けることは悩みましたか?

悩みませんでしたね。最初から『つけ麺は付けよう』と決めていました。浜松での修業時代、"つけめん京蔵"というお店の味に惚れていたんです。そのお店の浅野店主もかっこよかったし、(修業時代)休みのたびに西塚さんと食べに行っていましたね。」



- オープン時のメニューは?

「ラーメンもメニューに入れました。姫路ではまだつけ麺の知名度が低かったですし、お年寄りも気軽に入ってもらえるように中華そばを入れました。台湾まぜそばもありました。」

 

- 最初から自家製麺だったんですか?

「はい。自家製麺と無化調でって最初から決めていました。自分でやるなら、とことん拘りたいと思っていました。」

 

- 商品への拘り?

「無化調・保存料、防腐剤無添加。水からこだわっています。NASAのロケットでも使用されている世界一安全な水と言われている水を、スープやお冷、麺を茹でる水まで全てその水を使用しています。高級割烹醤油、最高級小麦粉、漂白剤不使用メンマ、チャーシュー、無添加ナルト、天然かんすい、細部にまで拘っています。」

 

- 台湾らーめんの紹介をお願いします。

「浜松にいた頃、夜中に名古屋まで台湾ラーメンを食べに行ったりしていました。とても美味しくて、台湾ラーメンや台湾まぜそばも無化調でやってみたかったんです。」

 

- 他にお薦めは?

「四川担々麺ですね。僕は中国も好きで、四川に滞在していた時には、ほぼ毎日、担担麺を食べていたんです。チベットに行っても担担麺がありました。『担ぐ担ぐ』って書いて担担麺。スープが重たいので、本場はスープが無い担担麺でした。チベットでも、おばちゃんが担いで売り歩く50円もしない担担麺を、ヒマラヤ山脈を見ながら食べて感動していました。もう一度インドを旅して、スパイスの勉強もしたいです。」

 

- 冨井店主が大事にしていることは?

「笑顔。お客様に喜んでいただく事が一番です。毎日美味しい麺を提供する。挨拶をする。感謝をする。お客様あっての"つけ麺冨"ですから。」


 <店舗情報>

■つけ麺 富

住所:兵庫県姫路市米田町15-1 船場東ビル 1F

オープン日: 2015年7月7日

 (取材・文・写真 KRK 平成30年11月1日)