Vol.111:らーめん チキン野郎


 2012年12月、滋賀県彦根市に新たなお店が加わった。店主は滋賀ラーメンシーンを長年牽引し続けている大人気店"ラーメンにっこう"で店長を務めていた方だ。屋号は"らーめん チキン野郎"。屋号だけでなく"にっこう"出身という話題性もあり、すぐに人気店となる。

 私自身ももう何度も足を運んでいるお店だが、店主と話したことは無かった。今回、某イベントを通じて連絡を取る機会があったので、取材もさせていただくこととなった。彦根市は遠いが、美味しいラーメンを食べるためなら喜んで彦根市までドライブさせてもらう。"らーめん チキン野郎"柿町店主にKRK直撃インタビュー!


- 出身は?

「滋賀県です!」

 

- ラーメン食べ歩きはしていましたか?

「色々いきました!当時、東京で賞を獲られていたお店もたくさん行きましたし、大阪、京都、岐阜も行きました。特に拳ラーメンさん、鳥そば真屋さん、弥七さん等は個人的に好きで、リピートして食べに行かせてもらいました。」 


- ラーメン屋で働こうと思ったきっかけは?

「当時ニートだったのですが、お金がなくなってきたのでどこかで働かなくてはいけないと思っていました。そんな中、にっこうさんでアルバイト募集されていたのを偶然に見つけて、以前にラーメン屋で働いた経験もあったので、にっこうさんで働くことにしました。食べに行った事もなかったのですが、初めて賄いで頂いたつけ麺に感動し、ラーメンに段々と興味が湧いてきました。そして社員で働かせてもらえるようにお願いして、修行させて頂くことになりました。」

 

- にっこうの味にとても影響を受けたんですね。

「当時チェーン店しか知らなかった僕に、ラーメン愛に満ち溢れた西川さんが本物のラーメンを教えてくださいました。元々は、ラーメン屋になりたくて入ったわけではなく、将来自分で商売をしたかったので自営業ができればなんでもよかったのです。でも西川さんに魅了され、いつの間にかラーメン屋を目指すことになりました。」

- にっこうで学んだことは?

「にっこうでは、4年ほど働かせていただきました。ラーメンの作り方はもちろん、お客様との接客の仕方、ラーメン屋さんの本気でラーメンに向き合う姿勢を学ばせていただきました。

  感動したのが、家族でご来店の赤ちゃんを抱かれているお客様に対して『時間をずらして作りましょうか?』と声をかける事でした。その理由は、もちろんお客様を気遣って行う行為でもあるのですが、どちらかが食べ終わるまで(食べ始めるまで)に麺が伸びてしまわないように、最高のコンディションのラーメンを食べていただきたいと思う師匠の気持ちです。その接客から、本当に美味しいものを食べてもらいたいという気持ちがとても伝わってきて感動しました。それは、今も僕の中にDNAとして流れています。」

 

- 実際にラーメン屋で働き始めて、どうでしたか?

「なめてました!体力的な部分もそうですが、日によって材料のコンディションも違いますし、湿度によっても味が変わります。もっと簡単な料理だと思ってました。だからこそ、今でも日々向き合って深く追求したくなるのだと思います。飽き性な僕が唯一飽きてない事です。」


らーめんチキン野郎(2012年12月3日オープン)


- いつから独立を考え始めたんですか?

「ラーメン屋をするとかは決まっていませんでしたが、面接させて頂いた時からです。」

 

- 屋号の由来は

「最初チキンハートにしようと思っていたんですが、先輩に『チキン野郎の方がカッコイイぞ!』っと言われたんです。確かにインパクトあるなと思い、チキン野郎にしました。」

 

- 彦根を選んだ理由は?

「(ラーメン屋で働く前)昔3年ほど他の仕事を岐阜でしていまして、その時に趣味でクラブDJをしていたので、岐阜に友達が多かったので岐阜で出す予定をしていました。

 しかし、4年ほど彦根(にっこう)で修行させてもらい、彦根の飲食関係を中心に仲良くさせて頂く飲食の先輩方も増えてきたんです。師匠のお店の近くで出すのはあまり良くないと思った事もありましたが、その反面、一緒に彦根をもっと盛り上げたいという気持ちも強くなっていました。そのタイミングでact2(当時あった"にっこう"の2号店)を閉めるということだったので、その場所で始めさせて頂くことに決めました。」



- 店の看板メニューとして鶏白湯を選んだ理由は?

「修行時代に一ヶ月限定で濃厚鶏白湯をやったのですが、お客様から好評いただきヒントを頂きました。豚のラーメンも好きなのですが、自分自身やっぱり鶏の出汁が好きです。自分が一番好きなラーメンでお客様にラーメンを伝えたいと思いました。鶏なのにドロドロなスープ!ドロドロなのに最後まで飲み干せるスープをコンセプトに始めました。」

 

- オープンしてから順調でしたか?

オープン当初は、修行先がにっこうさんと言うこともあり、とても忙しかったです。しかし、忙しさのあまり、まだ慣れないスタッフ、自分のオペレーションも不十分で毎日ブレブレのスープでした。2ヶ月目には100万くらい売り上げが下がり、3ヶ月目はまた50万くらい売り上げが下がり、4ヶ目も売り上げが下がり、『このままだとヤバイな』と焦りました。

 そこでスープの炊き方を変えました!そしたらとても美味しいスープができ、スープのブレもなくなりました。それから少しずつ常連さんが増え、売り上げも右肩上がりに上がるようになり、タイミングよくラーメン雑誌で県内金賞と関西準グランプリを頂きました。そこから売り上げが上がり、2年目くらいにオープン当初の売り上げを取り戻せるようになりました。」


らーめんFLYINGチキン野郎(2017年5月23日オープン)


- 二号店をするきっかけは?

「元々ラーメン屋で働いていた職歴を持つ従兄弟の直哉が入社してくれたことです。チキン野郎をもっと有名にしていくことを目標に、僕が誘いました。そして田中が入社してくれ成長してくれたので、そこから物件を探し始めました。草津からの常連さんも多かったんですが、草津から彦根まで1時間程かかるので、もっと手軽に食べて頂けるように草津を選びました。」

 

- 今後について?

「まだ正式に発表はできませんが、来年3店舗目を予定しています。従業員も増える予定です。」

 

- 大事にしていることは?

「ウチの会社の社訓は、『私達は"食"と"職"に驚きと感動を与えるアーティスト』です。食とは、美味しい物、本物のラーメンでお客様に驚きと感動を与えます。職とは、働く仲間に驚き(気づき)や感動を

与え、互いに成長しあえる職場づくりを意識して、ステージ(お店)に立つアーティストでありつづけるよう心がけています。」


現在、オランダ在住の"にっこう"西川店主よりコメント頂きました。

「思っていた以上に、高く飛んでくれていて嬉しいです。滋賀のラーメンの新しい道は彼が切り開いていってくれるのではないかと思ってます。

 

 同じ滋賀・彦根なので、よきライバルとしても切磋琢磨しながら滋賀のラーメン界盛り上げていこう!」


 <店舗情報>

■らーめん チキン野郎

住所:滋賀県彦根市大藪町21-22 メゾンインペリアル 1F

Twitter:https://twitter.com/la_men_chikin

オープン日:2012年12月3日

 (取材・文・写真: KRK 平成30年11月17日)