Vol.216:麺スタイル林


 塚本の名店「創作らーめんstyle林」の新ブランド店が都島区にオープンした!とても雰囲気のいいお店で家族客も多くとても賑わっていた。メニューのラインナップも新店としては揃い過ぎているほどだし、何より接客がとても好印象で「また来たい」と自然に思わせてくれた。

 この新店の厨房でラーメンを作り続けている林店主に当サイトで初めて取材をしてから、もう4年が経つ。この4年間で店舗展開、そして海外進出と幅広く活躍されていたのは知っている。久しぶりに話す機会を作ってもらえたので、今の気持ちをいろいろ聞いてみたい。「麺スタイル林」林店主にKRK直撃インタビュー!


◆店舗情報

麺スタイル林

大阪府大阪市都島区本通1-7-21

twitter:https://twitter.com/menstylehayashi

instagram:https://www.instagram.com/menstylehayashi/

オープン日:2021年3月28日


◆前回の記事


◆林店主インタビュー(2021年4月14日)

  - 前回の取材が2017年4月なので、あれからもう4年が経ったんですね。

「お久しぶりです。あの記事を読んでウチに入ってくれたスタッフも多く、とても助かりました。」

 

- 今回、都島にオープンしたお店は何店舗目なんですか?

「直営で3店舗目。プロデュース合わせると5店舗目になります。」

 

- 都島進出のきっかけは?

「二人目の子供を授かった日にこの物件の話が知り合いから舞い込んできました。(林店主の)奥さんから『個人店のラーメンの美味しさ且つチェーン店みたいにゆっくり過ごせるラーメン店があったらいいよね!』と以前に聞いたのが始まりでした。都島店はカウンター9席。座敷席は8席。座敷席にはテレビでプーさんを流していて、子供達が遊べるようにマットを引いて転んでも怪我がないようにしています。そして2階席には団体様や、ご家族様がゆっくりできる6名掛けテーブルを18席、4名掛けテーブルを8席用意しました。

 テーマは『子供達に愛を、ご家族の方々に愛を』です。そのテーマに沿ったことをやれるだけ全部やろうと取り組んだお店となっています。お子様ラーメン無料。子供達はラーメンよりうどんが好きですよね。ですのでお子様うどんも無料。うどんも勿論自家製麺です。加えて働いているスタッフの清潔感を大事にしています。ファミリー層からお一人様まで楽しんでもらえるようにと考えて工夫しています。『麺スタイル林』を私の系列店最強の店として、この都島駅前にオープンしました。」



- 接客面の変化は?

「今までは研修もせずに営業をしながら修正していく形でしたが、このお店ではマニュアルをしっかり作って指導し、営業前に朝礼。全員で必ず声出し。一致団結してからオープンします。毎日の売上も全体LINEでアルバイトにまで送り、数字的な部分も意識してもらいお金の有り難みを目に見える数値で感じてもらおうと思っています。麺スタイル林での経験が、将来の就職活動、社会に出た時に役立つような経験になればとイメージして研修をしています。」

 

- 店舗展開をしても、林店主の軸は味噌ラーメンなんですね。

「僕はラーメンからブレません。味噌ラーメンが世の中にまだ少ないと思うんです。僕は味噌ラーメンを(修業時代を含んで)12年間してきているのですが、味噌ラーメンを商売とする難しさをよく分かっています。でも僕が塩や醤油に特化したお店をしても誰も望まないんじゃないかな?と思っています。師匠斎藤さん(みつか坊主店主)から預かった意思を継承し、まだ若い私がやれる所まで味噌ラーメンを広げていきます。また次の世代のラーメン店主、弟子達にバトンを継承していこうと思っています。」

 

- 特に関西ではなかなか味噌ラーメンの店が増えないですね。

「この5年間、初めて会ったお客様や仲良くなった知り合いにしている質問があります。『あなたは味噌ラーメンを何年前に食べましたか?』という質問です。すると10%くらいが何ヶ月前という回答。90%が1年以上も前。実はまだお店で食べたことないって方も10%〜20%以上です。さらにリピート率は低く加えて質問します。『何故1年以上も味噌ラーメンを食べていないのですか?』それに対する回答のほとんどが『初めて食べた味噌ラーメンが美味しくなかった。』つまり関西では味噌ラーメンのレベルは全体的に見るとまだまだ低く、味噌ラーメンのイメージの低下が今も続いています。それだったら『味噌ラーメンって美味しいだ!』ってきっかけのお店になれたらと思って作り続けています。」



- 林店主の中で前回の取材からの4年間で気持ちの変化とかは?

「娘が産まれた事で自分が磨かれていき、人への優しさを理解できるようになってきたと思います。今までは『志』という言葉を大事にして自分を高め、時間を惜しまず努力、勉強、さらに実戦、体験、経験を果敢に積んできました。今は『悟』という言葉を大事にしていて悟る。人を受け入れるという事です。それこそが人の器の大きさなんだなと私の自論ではありますが気づきました。『高い志』で仲間に道を示し、『悟り広い心』で皆を受け入れる。今の自分の人間形成として大事にしていこうと思って生きています。」


- この4年の間に店舗展開から海外進出。どんなことを学んできましたか?

『TV松本家の休日』で優勝した事で行列店になり、『Yahoo!次世代ラーメン決定戦で優勝』してカップ麺化が実現しました。この時に1のチャンスを2にする事の重要性を学びました。海外進出の話が舞い込んできたのも神がかりなタイミングでした。」

 

- 元々、海外進出は考えていたんですか?

「全然思っていなかったです。知り合いから紹介してもらって海外進出を狙っている大手の方達の前でプレゼンテーションをする機会がありました。幸いにも高評価をいただいて、Yahoo!次世代ラーメン優勝というのもブランディングに繋がるということで海外進出が決まりました。」

 

- それが香港進出ですね。香港はどうでしたか?

「幸いにも大成功となりました。そして海外で知り合った方達の中に『香港で成功したラーメンを日本でも出してみないか?』と言ってくれる方達がいて、それで帰国してから一緒に心斎橋にPRISMというラーメン屋を出すことになりました。初めて株主総会とかも交えてするお店で、『自分が出したい味』と『海外の人たちが出して欲しい味』の相違などでとても難しかったです。いろいろ方向性も違ってきていたので数ヶ月で撤退する決断をしました。」

 

- なかなか経験できない4年間だったんですね。そこから学んだことは?

「頑固なラーメン職人が一気に経営者として変わる瞬間でした。毎日数字が急激に減る中での決断、判断の連続。ここで更にメンタルが強くなりました。株主総会を開いているようでは全てが間に合いません。飲食店は改善スピードの速さの重要性を学びました。海外、国内の方々との覚書、契約書、また戦略、バスターコールの重要性、FL率から原価率、税金対策、融資、PDCAサイクルの重要性などこの短期間で一気に多くのことを学ばせてもらいました。そんな中、やはり鮮烈な印象として『マネージメントの大切さ』を覚えました。今は社員の生活、社員の家族を笑顔にする事。条件を聞いて、皆んな生活を豊かにする事を第一にしています。私のビジョン通りにいけば今後は少数精鋭で社員全員の生活がより豊かになります。社員10人前後の一致団結できる会社が、夢とビジョンを叶えます。今やる気ある社員、モチベーションが高い社員しか私の元には居ません。こうなれたのも今の皆んなのお陰で感謝しています。マネージメントに関してはまだまだ勉強中ですが、『失敗は全て自分のせい』『成功は全て皆んなのお陰』と心に決めた日から上手くいくようになりました。」

 

- 今に生かせていることは?

「自分自身が美味しいラーメンを提供し続けても、お客様の数はある程度までいくと変わらない。今はどのお店も美味しいラーメンを出しています。だから味だけでなく、接客・空間・アクセスが大事になってくると思って取り組んでいます。」


- 林店主が大事にしていることは?

「人を大事にすることです。」

 

- 今日はありがとうございました。最後に一言お願いします。

「麺スタイル林はお客様にサービスしたい一心で都島店をオープンしました。都島周辺の皆様に『近所に本当に良い店ができたな!』と思っていただけたらいいなとスタッフ一同取り組んでいます。都島駅前『麺スタイル林』を宜しくお願い致します。」


 (取材・文・写真 KRK 令和3年4月14日)