Vol.284:こばやし


 今回取材するお店は、広島県福島市の「こばやし」。多くのラーメン店が集まっている激戦区「福山市」の超人気店だ。店主と話すのは今回が初めてなので、いろいろ聞いてみようと思う。「こばやし」小林店主にKRK直撃インタビュー!


- ご出身は?

「生まれも育ちも福山市です。学生時代は名古屋にいました。」

 

- 昔からラーメンは好きだったんですか?

「地元でも食べていましたし、名古屋にいた時、ラーメン屋で働いていたこともあります。」

 

- 福山で育った方は、ラーメンと言えば尾道ラーメンという感じなんですか?

「若い頃は尾道ラーメンしか頭に無かったというか、それしか無かったです。今でも福山は尾道ラーメン以外はラーメンじゃないと思っている人も多いと思います。」

 

- 自分でラーメン屋をするまでの経緯は?

「ずっと福山の駅前の居酒屋で働いていまして、いつかは自分の店をしたいと考えていました。その頃に事故に遭って仕事を辞めることになり、それが転機になり自分で店をやろうと決心しました。最初は居酒屋をしようと考えていたんですが、友達からラーメン屋をしてみたらと言われたんです。名古屋でラーメン屋での経験もありましたからね。」

 

- 居酒屋とラーメンで悩んで、ラーメン屋を選んだ理由は?

「当時、居酒屋というと宴会して大勢のお客さんを入れてというイメージだったので、自分1人でするのには向いてないと思いました。ラーメンの方がやっていけるだろうと思ったのが大きな理由です。」


2010年12月2日オープン


- 福山ですると決めていたんですか?

「当時は知らない場所に行く勇気も無かったですね。今は他の場所でもしてみたいという気持ちはあります。」

 

- この場所は?

「周辺に店は多いですが、この店の前の通りはあまり人が通らないんですよね。向こうに駐車場があるから呑んだ帰りに通る人がいるくらいです。オープン当初は全然お客さんが来なくて、『こんなに来ないものなんだ!』と驚きました(笑)。ウチが入る前は蕎麦屋さんがこの場所でしていたんですが鳴かず飛ばずで、移転してから人気が出て食べログ百名店に選ばれていましたね。」

 

- オープン時に提供していたラーメンは?

「最初はその辺の肉屋から普通のブロイラーの鶏、拳骨をちょっと入れたりして尾道ラーメン風のラーメンを作っていました。そのラーメンで7〜8年ほどしていたんですが、他の店と同じことをしていても駄目だと思い始めて、徐々に変えていきましたね。材料も拘っていかないといけないと思い始めました。」

 

- 考え方が変わってきたきっかけは?

「前田店主(塩そば まえだ店主)とか同業の仲間と知り合ったのが大きいですね。名古屋コーチンのこととか教えてもらって色々と試行錯誤して、化学調味料や添加物に頼らないラーメンを作っていこうと決心しました。徐々に自分の目指すべき方向性が見えてきたという感じでした。」

 

- 自家製麺はいつ頃から?

「7年前くらいからですね。長い目で考えると自分で麺を打つ方がいいと思いましたし、良い小麦を使えるのも大きな理由です。」

 

- 尾道系の商品からそういう系の商品に変更して、この地域で受け入れられるかの不安は?

「自分はこれでしていこうと決めていたので、迷いはなかったです。福山ってウチのような淡麗のラーメンを出している店が他には無いですし、ちょうどInstagramとか流行ってきた頃だったので、発信した情報を見て遠くからも来てもらえることが増えました。客層が広がりましたね。」



- 現在の看板商品の紹介をお願いします。

「現在、醤油は呼白さん(広島市)に紹介してもらった末廣醤油(兵庫県龍野市)の生揚げ醤油を使っています。出汁は名古屋コーチンのガラと丸鶏、ちょっとだけ魚介出汁を加えていて、チャーシューはガリシア栗豚を使っています。」

 

- 小林店主が現在目指している麺は?

「硬すぎず、柔らか過ぎずの麺。関東の方ではやわらかい啜り心地重視の麺が多くなってきていますが、この地域は硬麺を好む方が多いんです。いきなり変えることはせずに、今はその中間くらいの麺を打っています。」

 

- 広島県産の素材も取り入れていますか?

「豚骨を限定で作る時は、福山市で作っている『瀬戸のもち豚』を使ったりしています。生産者の方と知り合える機会があれば、なるべく足を運んでいきたいと思っています。」

 

- 小林店主が一番大事にしていることは?

「個人店なので、個人店の良さ、手作り感で勝負することを大事にしています。まだまだ尾道ラーメンの牙城はデカいですが、頑張っていきます。」


◆店舗情報

こばやし

広島県福山市延広町5-4

twitter:https://twitter.com/kobayashira_men

オープン日:2010年12月2日

 (取材・文・写真 KRK 令和5年2月27日)