Vol.70:拳 x セアブラノ神 x 頑固麺


 2018年 新春特別企画として、京都の人気3店の店主に集まって頂いた。「拳ラーメン」山内店主、「セアブラノ神」中野店主、「頑固麺」岡部店主。京都ラーメンシーンを最前線で牽引する3店主から一体、どんな言葉が飛び出してくるのか?好き勝手にトークしてもらうのも面白いとは思うが、ある程度、話の軸が必要なので質問を幾つか用意させて頂いた。京都3店主にKRK直撃インタビュー!そして特別インタビュアーは、人気番組「森ちゃん関西ラーメンファイル(公式HP)」でお馴染の釈京子さん


質問❶:お互いの第一印象について

釈 京子さん(以下「釈」と略)

「では、よろしくお願いします。まずはそれぞれの第一印象はどうでしたか?出会いエピソードとかもお願いします。」

●山内店主(以下「山内」)

「中野さんと初めて会ったのが、中野さんがまだ焼肉屋さんをしていた時です。社交的な方でしたね。ラーメン屋を始めた時もいろいろアドバイスをさせてもらえるような窓口が広い方。ちゃんと実行もしてくれはる方で、売れたら喜んでくれるししっかり答えが返ってくる方です。ラーメン屋さんから知り合ったわけでないので、逆にそれが新鮮でしたね。

 岡部はウチによく食べに来てくれてたんですが、最初ラーメン屋さんって知らなかったんです。途中でスタッフから『あのお客さんが頑固麺やで』って教えてもらったんです。中野さんがしてくれた飲み会で初めて話した時に、『東京で飲み会あるから一緒に行かへん?』って冗談で言ったら、ホンマに来て(笑)。」

 

●岡部店主(以下「岡部」)

「冗談やったんですか(笑)?」

 

●山内「なんかノリで言ったら、ホンマに来てくれて(笑)。それでびっくりして、それから付き合いが続いています。この3人が集まったら楽しいお酒が飲める。仕事もちゃんとできるブレない仲間です。」

 

- 釈「次、中野さんお願いします。」

●中野店主(以下「中野」)

「僕が当時してた焼肉屋に山内さんが来てもらう前に、僕が山内さんの前してた店(こぶ志)の近くに住んでいたんです。それで2~3回行きましたよね。『凄い斬新なラーメン屋だな」って思っていました。それからある日、僕の焼き肉屋に山内さんと棣鄂の方が二人で来られてラーメンの話をしておられて、僕は肉を切りながら聞き耳を立てて、、(笑)。そして帰りはるときに声掛けさせて頂きました。すると僕のことを憶えてくれていて、『この前、ウチに食べにきてくれましたよね』って。それが始まりで、それからいろいろ教えてもらったりしながら仲良くなり、今は週3~4は一緒にいますね。僕に彼女できたら怒るんです(笑)。今も大尊敬してるし、とても良くしてもらっています。

 そして岡部とは・・・今考えてたんですが、いつかな??いつが一番最初??」

●岡部「飲み会が最初でしたよね?」

 

●中野「俺、なんで岡部誘ったんやろ?誰を通して?」

 

●岡部「facebookで繋がってたんですよ。中野さんと」

 

●中野「頑固麺さんってのは分かってて。。」

 

●岡部「その前に一回、ウチに食べにきてくれたんです。その時に挨拶して。」

 

●中野「あ~、、あれからか!岡部は積極的に僕らの飲み会や遠征にも一緒に来てくれて、どんどん仲良くなっていきましたね。」

 

- 釈「次、岡部さんお願いします。」

●岡部「山内さんはさっきも言ってはったように、僕は拳ラーメンによく食べに行っていました。なんかこう自分が悩んだ時に刺激が欲しくて、ラーメンで『どうしたらいいんだろう?』って悩んだ時に拳ラーメンさんへ行くことが多かったです。僕は気づかれてないって思ってたんですけど、その飲み会の時に山内さんに『来てんの知ってるよ』って初対面で言われて、びっくりしたんですよね(笑)。ずっとしゃべりかけ難い怖い人って思ってたので、話してみたらざっくばらんで明るい人だったのが意外でした。それで『東京へ一緒に行かへんか?』って言われた時、考える時間なく行こうって思いましたね。言ってから『どうしよう。。』って思ったんですがね(笑)。結局、自分の中で刺激がいっぱいあったので、あの時、一緒に東京へ行ってみて良かったです。中野さんもその飲み会から知り合って、だんだん仲良くさせてもらいました。」



質問❷:伝統の京都ラーメンについて

- 釈「次は‘’伝統の京都ラーメンについて‘’です。お願いします。」

●山内「僕は反対側のラーメンやってるので、たまに大輝とかに食べに行くと『あっ、これが本当のラーメンやな』って逆に思うんです。これが京都のラーメンやのに、僕がこんなことをやってていいんかなって。京都ラーメンについては以前は『もやしとかネギだけじゃなく、京野菜とかもあるのに勿体ないな』って気持ちもありましたが、最近は『でも答えはこれなのかな?』って思うことがありますね。」

 

- 釈「中野さんは?」

●中野「僕はずっとこの場所(セアブラノ神 本店の場所)で生まれ育って、裏に珍元さんっていう映画たんぽぽのモデルになったラーメン屋さんがあってそこで食べて育っているですね。物心ついてから、ほそかわさんや、大学の時は京都のいろんなラーメン屋さんを食べてたんですがその時は何も思わなかったんです。でも自分でラーメン屋さんを始めてから意識するようになってきて、今年(2017年)、京都ラーメンを食べ尽くそうって思いまして、大輝、大栄、ますたに、ほそかわ、新福菜館、いろいろ食べ歩いてみました。

 僕が背脂煮干しをしたのも、元々、背脂のラーメンが京都ラーメンの中の1つとしてあったのもあるんです。これからはもっと京都ラーメンについて考えて、僕らが新しい形の京都ラーメンを作りたいなってずっと思っています。今年(2017年)、限定で出したりしてたんですけど、来年(2018年)も自分の中の課題として、それは続けていきたいなって思っています。」

 

- 釈「岡部さんお願いします。」

●岡部「元々、僕はこの業界に興味なくて、気が付いたらラーメン屋をすることになっていたんです。だからあんまり他のところに食べに行ってなかったんですよ。京都ラーメンって言われても、僕が住んでるところが南なんで。自分の店でも白湯しか最初はやってなくて、だんだん4~5年ってやってきて、最近ですが素朴なラーメンっていうか、伝統で続いてる店のラーメンの大事さが分かってきました。自分なりにそういうのを作ったらどうなるのか興味あるので、やってみたいなって気持ちはありますね。」



質問❸:凄いなって思うラーメン屋さん

- 釈「凄いなって思うラーメン屋さんは?」

●山内「ajito(東京)ですね。あの人もけっこう人見知りなんですけど、いろいろ仲良くさせてもらっています。僕もまぜそばが好きなので、ピザそばとか凄く斬新なので凄く好きですし、とても尊敬していますね。」

 

●中野「本当に嘘無しで、山内さんは凄いと思います。だから一緒にいたいってのもあります。尊敬してるから一緒にいたい。なんか気持ち悪くなってきましたね(笑)。龍旗信の松原さんも凄く尊敬してます。パッと出てくるのはその二人ですね。」

 

●岡部「やっぱり山内さん、中野さん、松原さんですね。一緒にお仕事してもらうようになってから、自分自身もだんだんラーメンの知識も増えていきました。そしていろいろな人と繋がったり、いろいろな仕事ができるようになってきました。」

 

●山内「俺、今日奢るわ(笑)」



質問❹:ラーメンブームについて

- 釈「近年の関西のラーメンブームについてどう思いますか?」

●山内「京都は特に新しい店、若手の店が出てきてバリエーションが増えてきたなって思いますね。いろいろ芯があるラーメン屋っていうか、創作じゃなく、これで勝負するってイメージのラーメン屋が京都では増えてきたかなって思いますね。大阪もですが、若手が活躍できるような時代になってきてるのかなって思います。」

 

●中野「僕は違う観点から考えているんですが、一般の食べ手の人達は本当に変わらずラーメンを好きでいてくれています。ただ、それに乗っかろうっていう感じで異業種の方達がラーメン屋をするってのが増えてきてるように思うんです。なんか手を出しやすいというか、なんか『それはどうなるんやろ?』って心配な部分がありますね。」

 

●岡部「・・・・・・(無言)」


質問❺:麺屋 棣鄂について

- 釈「麺屋棣鄂さんについて」

●山内「10年前に雑誌でオーダーメイド麺ってのを見て興味を持って注文した時からの付き合いですね。その時は小さい小屋みたいな会社だったんです。それがここまで大きくなっていきはった。僕が一緒に育ててもらったって気持ち。今、僕が棣鄂に対して思うのは、僕がまだ売れてない時から付き合ってもらっていて、今、こうしてセミナーとかさせてもらうようになっているのも棣鄂への恩返しかなって思うんです。工場長や社長と仲良くさせてもらってきたので、僕も棣鄂の一部というか親戚じゃないけど、なんか一緒に育ててもらったって大きな存在です。今のように北海道から福岡までって、ここまでに大きくなるとは想像していなかったですね。」

- 釈「中野さんは?」

●中野「セアブラノ神をする前、焼き肉屋でランチ限定で担担麺を出してる時から付き合いさせてもらっているんです。現在でいうと、セアブラノ神は棣鄂さんでなければ無かったと思います。関西であれだけの麺を作れる方達はいないと思いますので、ウチがあるのは棣鄂さんのお蔭です。それは間違いないです。」

 

- 釈「岡部さんもお願いします。」

●岡部「修行してた店が麺が一種類しかなくて、その時『いろんなメニュー作るのにこれだと無理だな』って思っていました。それで山内さんとこ(拳ラーメン)に行った時にいろんな麺があるのを知って、『どこの麺屋さんなんだろう?』って思ったら、棣鄂さんだった。それで自分の店を始める前から、『棣鄂さんの麺を使いたい』って思っていましたね。やっぱりウチのドロドロのスープって、棣鄂さんのSTって麺が凄く合うんです。やっぱり勉強熱心。あきらめないし拘り強いし、いろんな麺を作りはるし。そこが凄いって思います。」


質問❻:釈 京子について

- 釈「釈京子についてって、、これいる(笑)?」

●山内「関西ラーメンファイル(公式HP)のロケ(2012年5月4日放送)で初めて会ったんですよね。それまでご存知なかったんですけど、それから飛ぶように売れていきはって。釈さんがこうして京都まで足を運んでくれるのが嬉しいですね。皆さん、なかなか京都に来てくれませんからね。」

 

●中野「僕は最初に釈さんのブログ見させてもらった時に、華麺ライターじゃないですか?僕、仮面ライダーが好きなので読ませてもらっていて。それから関西ラーメンファイルのロケの前に食べに来てもらった時が初対面でしたよね。感じのいい方だなって思いましたね。」

 

●岡部「僕は究極のラーメンの審査員のイメージがありますね。あまりお会いする機会は無いんですが、会った時はいつもニコニコして挨拶くれてますし。あと憶えてるのが奈良のイベントでパンをかじってはるポスター(ポスター画像)。あれが凄く印象的。何かで見たんですが、いい写真やなって。」


【動画】質問❼:自店にどんな印象を持って欲しい?


質問❽:ラーメン屋をしたいなって人へ一言

- 釈「今からラーメン屋をしたいなって人へ一言」

●山内「やっぱりラーメン屋さんでもどんな店でも、一国の主っていうか自分の城を持つ立場になるので、自分が長く作り続けれる一杯を見つけてからして欲しい。これが自分のスタイルやってのを見つけてから始めて欲しい。」

 

●中野「商売するって山あり谷あり。たとえ谷に落ちてもあきらめずに頑張って欲しい。自分がそうだったので(笑)。あとは芯を持って、義理と人情が必要だと思います。」

 

●岡部「思ってるよりしんどいよって(笑)。あとはお蔭様の心を忘れずにずっとやることですね。」



質問❾:10年後の自分

- 釈「10年後の自分について」

●山内「僕、南の島で一人でやりたいなって思っています。今、ジビエとかもしてるので、山の奥でジビエラーメンとかやれたらって。今までいろんな限定をしてきたけど、最後は本当の中華そばだけで勝負したいって思います。いろいろイベントとかさせてもらったりして忙しくさせてもらってるので、最後はのんびりとラーメン一本で老後を過ごしたいなって思います。」

 

●中野「僕も今、国内だけでなく海外でもさせてもらって忙しいんです。僕の性格は直らないと思うので、10年後の自分には『そろそろお前、落ち着いたらどうや?』って言ってあげたいですね(笑)。やっぱりそうなっていたいし、僕も最終的には小さいお店をしたいなって思っています。」

 

●岡部「自分は10年後もまだ48歳なので、まだバリバリと白湯を作っていると思います。」



フリートーク

- 釈「ここからフリートークで(笑)。今後、京都のラーメン屋さん達が集まって何かするって噂を聞いてますが、どういう??」

●山内「僕ら3人と山崎麺二郎さん、かたぐるまさん。この5人はイベントとか通して絶対に裏切られない5人やなって絆ができています。この5人で"京麺's 5"ってチームを作ろうと思っています。まずはこの5人で前掛けを作ろうかって。コラボとかイベントとか5人でやっていきたいなって。」

 

●中野「この2~3年、いろいろな飲み会っていうか集まりをしてきたんですが、そういうのをしていくといろんな揉め事とかあったりとかを全国各地で見てきたんです。僕はもうそういうのが嫌になって、もうそろそろ方向性も見えてきて、裏切らないとか義理とかを分かってる人たちが集まってきたので、それじゃ、みんなで京都から何か発信することをできないかなって山内さんに相談したら、『じゃあ、一緒にやろう』って言ってくれたんです。ゆっくりね、急に猛スピードではやれないので、最初は5人でやれることをやっていこうかなって思っています。」

 

●山内「5店舗共通のポイントカードとか作ろうかなとか話しています。将来的に他の店が参加したいって言ってきたりしたら増えるかもしれませんが。」

 

●岡部「大阪も奈良も僕と同年代の人たちがグループを作ってやってるのを知ってるので、この5人で集まって何かを始めて、そこから同世代とか上の世代の人達も繋がってきてって。そういうのを京都で作っていけたらって思います。」

 

●山内「いつまでも続けたいので。最初から人数多いと揉める元になるので、まずはこの5人でしていきます。」



<店舗情報>

■拳ラーメン

京都府京都市下京区朱雀正会町1-16

店Twitter:https://twitter.com/kobushi_ramen

公式ブログ:http://sakananoatama.blog69.fc2.com/

 

■セアブラノ神

京都府京都市中京区壬生相合町25-4 デイスターアベニュー 1F

公式Twitter:https://twitter.com/itamaenakano

 

■頑固麺

京都府京都市伏見区深草西浦町6-62

公式Facebook

店Twitter:https://twitter.com/GankoMen

 

(取材・文・写真 KRK 平成29年12月)