Vol.361:G style GACHI SOBA DOJO〜流儀〜


 「麦の空 GACHI SOBA DOJO閉店」という衝撃のニュースが舞い込んできた!数々の名作を含む現在の全商品はやめて麦の空SNSも消し、新たな挑戦へ向かうということだ。ミシュラン一つ星を受賞した「ガチ麺道場」〜ラーメンから離れた麦そば専門店「麦の上」〜中華そばと真摯に向き合うために始めた「麦の空」、ラーメン業界に多大な影響を与えてきた上野店主の新たな挑戦に日本が注目している。「G style GACHI SOBA DOJO〜流儀〜」上野店主にオープン直前独占インタビュー!


- 「麦の空」閉店のお知らせは衝撃でした。だいぶ前から考えていたんですか?

「はい。麦の空が5年になるんです。麦の空ではラーメンともう一度向き合おうということで『中華そばって何だろう?』から始まりました。僕が東北とかで食べていた素朴な中華そば。自家製手打ち麺だったり、当たり前のように向こうは無化調だったり凄く心に響いたんです。自分の中で歴史を辿りながら、こういうのが自分の中の中華そばかなというのをテーマに向き合ってきました。」

 

- ガチ麺道場とはまた違った方向性でのチャレンジでしたね。

「オープン後の2年間ほどはここを任せる店長がいたので、自分は"麦の上"をしていました。麦の上は灌水を使わない、蕎麦粉を使わない小麦のそば「麦そば」の専門店でした。途中で麦の空を任せていた店長が辞めてしまった時にどうしようとなり、コロナ禍もあって"麦の上"を閉めないといけなくなりました。それで女将と二人で"麦の空"をしていこうと決めました。」


- そして今回のフルリニューアルへの経緯は?

「女将と二人での麦の空で3年間ほど経った時に『田舎へ移転したい』と考え始めました。田舎に移転してのんびり麦そばをしたいなと思っていました。」

 

- 田舎とは? 東海から離れる予定だった?

「愛知県内です。そんな遠くじゃないです(笑)。空気が綺麗で川が近くで流れている所です。早く田舎へいきたいと思いながらも、現実は良い物件に出会わなかったんですよ。契約直前までいった良い物件にも6店舗ほど出会ったんですが、直近の物件でも裏の畑が測量ができないとか、杭打ちすらできないとか、なかなか難しかったんです。」

 

- 他の選択肢も考えていたんですか?

「田舎暮らしに憧れると同時に、麦の空でのこの3年間、凄く忙しくさせていただきました。凄かったんですよ。多くのお客さんに応援してもらって本当に有り難いと思っていました。それで同時進行で、もし今回の物件が駄目だったら麦の空をフルリニューアルしようと考えていました。」

 

- フルリニューアル?

「もう物件が無理となって、じゃあここでもう10年やろうと決めました。外壁を作り直して、メニューをリニューアルして名前は麦の空のままでしようと当初は考えていたんですよ。」

 

- 気持ちが変わった理由は?

「覚悟を決めてここでもう10年やると決めた時に、灌水を使わずに、小麦、もち大麦、もち小麦、今まで使っていたきな粉、地元の美味しい無農薬の緑茶を練り込んだ茶そばみたいなの。そこまで変わっていくのに名前一緒で引き継ぐのは僕の中で違うなと思いました。」



 - 新たな屋号は?

「G style GACHI SOBA DOJO~流儀~です。」

 

- 屋号の由来は?

GACHI SOBA DOJOの流儀を継承しながら最終章へと歩みたいです。略してG style にしました!ポーンと店を閉めたり(笑)とか僕の今までの生き様。ガチ麺道場の集大成になります。ガチ麺道場の中に"麦の上"があってもいいんじゃないかと思っています。」


- 商品も全て変わるんですね。

「コース料理じゃないけど、4〜5種類ほどの麺を出して、肉や野菜など旬の食材を添えてという料理。選択肢を3パターンほど用意して、肉メインとか野菜メインとか考えています。」

 

- 上野さんの名作の一つ「冷香麺」も消える?

「今までの商品は全て出す予定はありません。冷香麺も消えます。冷香麺は寅(麦の寅)に残りますのでそちらで食べていただけます。」

 

- ジャンルとしては?

「ガチ麺道場の時は当初から『ラーメン屋なの?』と言われていて、"麦の上"の時には頑なにラーメンを食べに来る人は門前払いしていました。今回はもうジャンルは関係なくて、お客さんが好きに感じてくれたらいいかなと思っています。僕的には"麦そば"だと思っています。」

 

- ジャンルは関係なく、上野さんの造るものを自由に感じて欲しい?

「昔は『灌水を入れないから中華そばの定義じゃない』とラーメンというジャンルから離れていました。灌水が体に悪いとかそういうことじゃなくて、元々は灌水に抵抗があったんです。今はもう無灌水でしている店も増えてきているじゃないですか。それはもう僕が決めることじゃなくて、食べたお客さんが決めてくれたらいいと思います。敢えて『今回、何屋さんですか?』と尋ねられたら『麦を使った麺屋さんです』と答えます。」


<画像の麺について>

(手前)岡崎の宮ザキ園のしゅうめい緑茶を練り込んだ茶麦そば

(奥)桜塩漬けの湯戻しを練り込んだ桜麦そばの冷やし


- ずっと上野さんの中ではこの仕事に対するモチベーションは「麺」なんですね。そうなったきっかけは?

「元々、父親の影響で僕は蕎麦やうどんが好きだったんです。逆にラーメンとかあまり食べさせてもらえなかったんです。以前の取材でも話しましたが、ラーメン屋をやろうと思った時に『ラーメンの麺って何だろう?』というのも分からなかったんです。それで漠然とつけ麺丸和さんの麺を食べた時に『こんなに美味しい麺があるんだ!』と感動して、それがきっかけで自家製麺をしようと決めたし、やる以上はもっと美味しい麺を作りたいと思いました。僕の中では100パーセント麺にウエイトを置いてずっとやってきましたし、今回もガチ麺道場の集大成として麦そばも取り込みながらしていきます。」

 

- 私が思うに、上野さんのこの業界への貢献の一つとして、小麦の名前一つ一つがクローズアップされたことも大きいと思います。

「ラーメンを始めた時はズブの素人だったので、一つ一つ勉強しながら進んでいたんです。浜松での2年間、全然お客さんがいなかった時代に小麦の卸の会社がいつもサンプルを持ってきてくれたんです。『暇な時こそ勉強するんだよ』と言ってくれて、全国あらゆる所の小麦をサンプルで持ってきてくれたんです。僕の中ではあの2年間で麺に対する、やらないといけない使命感みたいなのが作られたと思っています。」

 

- "もち大麦"との出会いもその時ですか?

「その小麦の卸の会社に"株式会社はくばく"の方が『もち大麦を練り込んだパンはあるんですけど麺は無いんですよ』と相談したのがきっかけですね。小麦の卸の社長が『変わった麺を打つ方がいるから』と僕を紹介してくれたんです。それで『ちょっと打ってくれませんか?』と話があり、『もち大麦?もち大麦なんてのがあるんだな?』と詳しく聞いてみると、体にも凄く良いということでそれをきっかけに使い始めました。麺にもち大麦を練り込んでいるのは全国でも私と弟子と友人の佐野君くらいですかね?全国で最近よく使われている"もち小麦"と、僕が使っている"もち大麦"は違います。」



- 新店が動き出すのは?

「3月28日にグランドオープンします。店内はあまり変えず、外観はかなり変わる予定です。外に立派な門を作ります。」

 

- 門ですか??

「駐車場は裏がメインになり、店前はぐるっと囲ってしまって、開閉する4.5メートルの門が設置されます。門が開いている時は営業中という形になります。完全予約制を予定しています。公式LINEでの予約制で昼営業だけを予定しています。気持ちは夜もたまにはやりたいですがね。」

 

- 完全予約制を選んだのは?

「昨年還暦になったのでもうできるだけノーストレスで自分達のペースでやりたいんです。麦の空で整理券導入してから凄いストレスだったんです。『整理券、ややこしいな』とか罵声を浴びせられて、Googleの口コミには好き放題に書き込まれてとか色々ありましたから。かなりゴツい門になるので(笑)偶然に通りがかりのお客さんが入ってくることは無いと思います。」

 

- 公式SNSがありませんが、この記事を読んだ方が予約する場合、どんなルートから予約が可能でしょうか?

「暫くは一般の方々のために枠を開けて営業します。」

 

- 新店について公式発表は?

「麦の空SNSは全て削除しますし、そちらから新店の案内をする予定もありません。もう僕からは発表せずに口コミで広まってもらったらいいと思っています。」


◆店舗情報

G style GACHI SOBA DOJO~流儀~

愛知県豊橋市神野新田町中道東246-1 

オープン日:2026年3月28日


上野店主 過去記事



(取材・文・写真 KRK 令和8年3月2日)